展覧会これまで

  • 特別展「山崎隆夫 その行路 ―ある画家/広告制作者の独白」
    Takao Yamazaki, his Journey - A Monologue from an Artist / Advertising Creator

    • 開催日:2025年9月20日 ~2025年11月16日

     
    プレスリリース作品リスト広告資料リスト
     
     

    会 期 2025年9月20日(土)―11月16日(日)
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    休館日 月曜日(ただし10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館、
    10月14日(火)、11月4日(火)は休館)
    観 覧 料 一般1,000(800)円、大高生700(560)円、中学生以下無料
    ※ 11月8日(土)、9日(日)は観覧無料(関西文化の日、「あしやつくるば」開催)
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者の方は各当日料金の半額
    会 場 芦屋市立美術博物館
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、朝日新聞神戸総局、神戸新聞社、NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE
    助 成 芸術文化振興基金
    協 力 サントリーホールディングス株式会社、株式会社サン・アド

     
     

    《開催趣旨》
     1905年大阪に生まれた山崎隆夫は幼少期より神戸に暮らし、画家を目指しつつも神戸高等商業学校(現・神戸大学)に入学します。在学中、後に版画家となる同窓の前田藤四郎、画家の井上覺造らと美術グループ・青猫社を結成し、同時に芦屋在住の洋画家・小出楢重に師事、阪神間モダニズムのただ中で洋画を学びます。卒業後は三和銀行に勤めながら、1931年に小出が没すると画家の林重義に学び、独立美術協会展や文展への出品を重ね、1943年に国画会会員となります。戦後は芦屋市美術協会や現代美術懇談会(ゲンビ)などの団体にも参加しながら洋画家として活躍しました。
     そのような中、銀行員としての山崎は、彼の画壇での活躍に注目した頭取によって三和銀行の広報担当に抜擢されます。各銀行が広報を強化した戦後の時代、独自の美意識を軸に山崎は、菅井汲、吉原治良ら芸術家仲間やアルバイトに来ていた柳原良平によるイラスト、人気女優のポートレイトを採用して数々の広告を制作します。このような山崎の仕事は評判を呼び、1954年には寿屋(現・サントリーホールディングス株式会社)専務・佐治敬三に招かれ、山崎は柳原を伴って寿屋へ入社し、宣伝部長に就任しました。同年に入社していた作家・開高健のほか、アートディレクターの坂根進、写真家の杉木直也ら、自ら集めた宣伝部メンバーを山崎は「ほん機嫌よう遊びなはれ」という掛け声のもとで率いて、トリスウイスキーの広告やPR誌『洋酒天国』の発行といった広告活動を展開しました。当時の日本人には馴染みの薄かった洋酒文化を、モダンな楽しみとして普及させようとする山崎の仕事が、寿屋独自の宣伝スタイルを築いていくのでした。1964年には株式会社サン・アドを創立し社長に就任。晩年は1962年に居を構えた神奈川県茅ヶ崎市にて、1991年に逝去するまで意欲的に絵画制作を続けました。
     山崎の生誕120年の節目に開催する本展は、彼の仕事の全貌を「絵画」「広告」の双方向から展観する初の機会です。阪神間モダニズムから戦後へと至る、山崎が生きた時代背景を踏まえつつ彼の仕事を通観することで、絵画と広告という異なる領域で確かな実績を残しえた山崎の思考と美意識に迫り、その功績を再検証する試みです。
     
     
    《出品作品》

     
     
    1 山崎隆夫《卓上の電話》1937年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    2 山崎隆夫《花と影の静物》1938年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    3 山崎隆夫《卓上の弁証法》1957年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    4 山崎隆夫《楷書富士図(紅・白)》1976年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    5 山崎隆夫《山下雷電》1987年 油彩、板 茅ヶ崎市美術館蔵
    6 山崎隆夫《大池寺刈込庭》1989年 油彩、カンヴァス、コラージュ 芦屋市立美術博物館蔵
    7 トリスウイスキー広告「人間らしくやりたいナ」1961年 株式会社寿屋(絵:柳原良平、コピー:開高健)
    8 サン・アド草創期の面々 1967年(「ある会合 月曜日の企画会」『サンデー毎日』1967年4月30日号、p.67より。前列左:開高健、右:矢口純。中列左:山崎隆夫、右:坂根進。後列左:柳原良平、右:山口瞳)
    9 『洋酒天国』第15号 1957年7月25日 洋酒天国社(株式会社寿屋)(表紙:山崎隆夫)
    10 トリスウイスキーのマスコット アンクルトリス(絵:柳原良平)
     
     
    《本展のみどころ》
    1 関西の美術館では初となる、山崎隆夫の個展。
    「絵画」と「広告」に焦点をあてる展覧会です。

     
     本展は、2001年に茅ヶ崎市美術館で開催された「富士と抽象 山崎隆夫」展以来、関西の美術館では初となる、山崎隆夫の個展です。山崎の生誕120年の節目に、彼が師・小出楢重を慕って住むようになった芦屋の地で、彼の画業を再顕彰する機会とします。
     本展では、画家として活躍する一方、三和銀行や寿屋で広告の仕事に手腕を発揮した山崎の仕事の全貌を「絵画」「広告」の双方向から初めて展観します。山崎の、絵画と広告という2つの領域での仕事を行き来する展示構成によって、確かな実績を残した山崎の思考と美意識に迫り、その功績を再検証する試みです。
     
     
    2 「絵画」の仕事 ―約60年の画業の全貌を明らかにする初の機会。
     
     山崎隆夫は1920年代より阪神間モダニズムのただ中で洋画の道を歩み始めます。小出楢重との師弟関係を出発点に具象を探求した戦前~戦中期を経て、戦後は現代美術懇談会(ゲンビ)をはじめ関西に興ったモダンアートの時流に乗りつつ抽象芸術を探求します。晩年は富士山をはじめとする様々なモチーフを、具象と抽象の垣根を軽やかに行き来しながら独自の絵画世界へと描き出していきました。
     本展では山崎の約60年にわたる画業を4期に分け、各時期を代表する作品全35点を一堂に展示し、画家・山崎隆夫の絵画の仕事を多角的に検証します。また、彼が師事した小出楢重や林重義、美術団体での活動や広告の仕事をともにした吉原治良、菅井汲ら関連作家約10名の作品もあわせて展観し、芦屋を中心とした関西における芸術家たちの交流の様子を、山崎の仕事を通して振り返ります。
     
     
    3 「広告」の仕事
    ―三和銀行、そして寿屋へ。戦後大衆文化の象徴となった寿屋の広告を一堂に展示。

     
     山崎隆夫は画家として活躍する一方、戦後1948年頃からは三和銀行や寿屋でアートディレクターとして広告の仕事に手腕を発揮します。数々の名作広告を世に出し、戦後関西の広告界の中心人物の一人でありましたが、山崎の広告の仕事に焦点をあてる詳細な紹介は、これまでにほとんど行われていませんでした。
     本展では、現存する資料約180点と、彼や仕事仲間が残した多数の言葉から、山崎の広告の仕事の全貌を紐解きます。特に、当時寿屋宣伝部に在籍していたイラストレーター・柳原良平やアートディレクター・坂根進、コピーライターの開高健・山口瞳ら多彩な面々を率いて行った「洋酒」の広告の仕事について、その独自性を明らかにします。また、生涯にわたる彼らとの交流と、山崎が総合プロデューサーを務めた1970年の日本万国博覧会(大阪万博)サントリーパビリオンについても紹介します。
     
     
    4 山崎が残した「小出楢重アトリエ」での小企画展示
     
     山崎隆夫は1928年ごろから、数々の裸婦像の名作によって日本近代洋画史に名を残す巨匠・小出楢重(1887-1931)の芦屋のアトリエに通い、油絵の指導を受けます。1931年に小出は逝去しますが、山崎は「先生のアトリエが忘れられない」と、建築家・笹川慎一が設計したこのアトリエを譲り受け、1937年から62年まで大切に手入れをしながら暮らしました。1980年代末、本アトリエは老朽化のため取り壊しが検討されますが、機を同じくして開館準備が進んでいた芦屋市立美術博物館へ復元・移築されることとなり、山崎が全面的に協力します。この結果、今日まで残るこのアトリエは、近代洋画の巨匠・小出楢重の作家像と作品を検証する上での多数の視座を、私たちに与え続けています。
     本展ではこのアトリエにおける山崎と小出の関わりについて紹介する小企画を開催するほか、関連イベントとして、実際にこのアトリエで絵画を制作するワークショップを開催します。

     
     

    《関連イベント》
    (1)スライドトーク「山崎隆夫の美意識 絵画と広告の仕事を辿る」

    日 時 10月26日(日)14:00-15:30
    内 容 山崎隆夫の絵画作品と広告の仕事を多数の資料をもとに振り返り、両者に共通する山崎の美意識とその源泉を探ります。
    講 師 川原百合恵(本展担当学芸員)
    会 場 当館 講義室
    定 員 80名(どなたでも) *申込不要、直接会場へ
    参加費 無料(ただし要観覧券)

     
     
    (2)ワークショップ「小出楢重アトリエで絵を描く」 *びはくルーム

    日 時 10月18日(土)11:00-16:00
    内 容 芦屋市川西町にあった小出楢重のアトリエは、彼の没後に弟子の山崎隆夫が住み、その後当館前庭に復元されました。このアトリエに残るテーブルや椅子などの家具と、小出が親しんだ青果や花々をモチーフに絵を描きます。
    講 師 川原百合恵(本展担当学芸員)
    会 場 当館 小出楢重アトリエ、体験学習室
    定 員 15名(中学生以上) *要・事前申込。10月4日(土)締切
    参加費 500円(別途、要観覧券)

     
      
    (3)トーク「《卓上の電話》を取り次ぐ」 *びはくルーム

    日 時 11月3日(月・祝)15:00-18:00
    内 容 山崎隆夫が1937年に描いた《卓上の電話》をいろいろな角度から鑑賞します。講義や鑑賞のまえに、芦屋の電話網の中心だった「電話交換局」(現「モノリス」)の前まで散歩し、この時代の芦屋と現在を重ね合わせながら、《卓上の電話》を取り次ぐことを試みます。
    講 師 長谷川新(インディペンデントキュレーター)
    会 場 旧芦屋郵便局電話事務室(芦屋モノリス)、当館 展示室、講義室
    定 員 30名(どなたでも) *要・事前申込。10月19日(日)締切
    参加費 無料(ただし要観覧料)

     
     
    (4)トーク「寿屋『カクテルブック』から読み解く洋酒文化」

    日 時 9月28日(日)14:00-15:30
    内 容 山崎隆夫らが寿屋で発行した冊子「カクテルブック」。日本におけるカクテル文化の黎明期に発行されたこの冊子から、戦後から今日までの洋酒文化の歩みを、今日バーの現場で働く2人の視点で紐解きます。トーク終了後にはバー芦屋日記に移動し、本冊子に登場するカクテルを実際に味わっていただく【スペシャル企画】も開催します。
    講 師 草野智和(BAR芦屋日記 バーテンダー)、森崎和哉(バー・サヴォイ・オマージュ バーテンダー)
    会 場 当館 講義室
    定 員 80名(20歳以上) *申込不要、直接会場へ
    参加費 無料(ただし要観覧料)
    協 力 芦屋市観光振興協会

     
    【スペシャル企画】「カクテルを味わう会」

    日 時 9月28日(日)16:30-18:00(予定)
    会 場 BAR芦屋日記(芦屋市公光町9-3 izaビル)
    定 員 20名(20歳以上) *要・事前申込。9月10日(水)締切
    参加費 100円(イベント保険料として)別途、ご飲食代として3,000円程度

     
      
    (5)担当学芸員によるギャラリートーク

    日 時 10月5日(日)、11月15日(土)14:00-15:00
    対 象 どなたでも *申込不要、直接会場へ

     
     
    (6)ボランティア・スタッフによる鑑賞サポート

    日 時 会期中毎週水曜日 13:00-16:00
    対 象 どなたでも *申込不要、直接会場へ
    参加費 無料(ただし要観覧券)

     
     
    その他・会期中のイベント
    (7)講座まなびはく「知られざる芦屋の水車業と酒造業」

    日 時 9月27日(土)14:00-17:00
    講 師 大浦和也(酒ミュージアム〔白鹿記念酒造博物館〕学芸員)
    内 容 江戸時代の西宮・灘の酒造業の発展は、芦屋川等で行われていた水車精米が要因の一つとされています。こうした芦屋の水車業や三条町で展開していた酒造業についてお話いただきます。
    会 場 西宮市立郷土資料館、酒ミュージアム〔白鹿記念酒造博物館〕
    定 員 30名(20歳以上)*要・事前申込。9月13日(土)締切
    参加費 800円(入館料、レクリエーション保険代等)希望者は別途、試飲代

     
        
    (8)ART MARKET あしやつくるば

    日 時 11月8日(土)、9日(日)10:00-16:00
    内 容 おいしい食べ物や手作りの雑貨、古書、ワークショップなどのお店が当館前庭に集まります。誰かが、または自分自身で “つくる”ことから生まれる喜びや発見を共有するイベントです。どなたでもお気軽にお越しください。

     
     
    *(2)、(3)、(4)【スペシャル企画】、(7)は事前申込が必要です。
    ・申込締切日をご確認の上、当館までお電話かメールにて、お名前・年齢・お電話番号・ご住所をお知らせください。TEL:0797-38-5432 E-mail:ashiya-bihaku@shopro.co.jp
    ・応募者多数の場合は抽選となります。
    *(2)、(3)、(7)はアートスタディプログラム まなびはくルーム2025の一環として開催。

  • 「具体美術協会と芦屋、その後」

     
    プレスリリース作品リスト
     

    会 期 2025年7月5日(土)-8月31日(日)10:00-17:00(入館は16:30まで)
    休館日 月曜日(休日の場合は翌平日)
    (ただし、7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館、7月22日(火)、8月12日(火)は休館)
    観 覧 料 一般900(720)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者の方は各当日料金の半額
    ※7月12日(土)は「ひょうごプレミアム芸術デー」のため観覧無料
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会 場 芦屋市立美術博物館
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE
    企画協力 モトナガ資料研究室、岡本隆子(HEAR)、能美亮士

     
     

    《展覧会概要》
     本展では、1954年に芦屋で結成された「具体美術協会」(具体)が1972年に解散するまでの18年間の活動を振り返り、なかでも1970年の日本万国博覧会(大阪万博)の参加に向けて準備を進めていた60年代後半からの「具体」の動向を紹介します。
     また、1972年と1974年に芦屋のルナ・ホールや滴翠美術館で開催された「芦屋川国際ビエンナーレ」、1973年から1975年にルナ・ホールで開催された「ルナ・フェスティバル」を資料などから紹介し、芦屋の美術の時間を辿ります。
     
     
    《展示構成》
    第1部:具体美術協会 1954-1972
     具体美術協会(具体)は、戦前より二科会や九室会などで活躍していた前衛画家の吉原治良(1905-1972)が中心となり1954年に芦屋で結成された、戦後日本美術を代表する美術家集団です。
     1972年に吉原が急逝したことで解散した「具体」は、吉原や会員たちが屋内のみならず、野外や舞台、空中までをも発表の場とし、多様な造形や絵画、立体作品などを通して先鋭的な表現を果敢に追求していきました。18年間という長い期間にわたって活動してきた彼らの仕事の数々は、「具体」というグループだからこそ成し得た表現であったといえます。
     第1部では、結成からフランスの美術評論家ミシェル・タピエと出会うまでの「初期」(1954~1957年)、「アンフォルメル」の動向と併走していく「中期」(1957~1965年)、テクノロジーと密接に結び付いた表現や、幾何学的抽象やハードエッジの作品など、当時の最先端の技術や傾向を取り入れる作家たちが入会し会員数が増大した「後期」(1965~1972年)というように「具体」を3つの期間に分け、その一連の仕事を俯瞰し活動を辿ります。その中でも特に、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)の参加に向けて準備を進めていた60年代後半からの「具体」の動向に注目していきます。
     

     
     
    第2部:「具体」が芦屋へもたらした、新しい息吹
     1970年代の芦屋において、国際的なビエンナーレや芸術祭が開催されていたことはご存知でしょうか。
    1972年、芦屋のルナ・ホールで開催された「芦屋川国際ビエンナーレ」は、吉原に影響を受け若手作家の支援に尽力していた芦屋在住の真壁義昌の発案のもと、「具体」会員の松谷武判と未生流の肥原俊樹たちによって企画されました。1974年に開催された第2回展は、19カ国から53名の作家の作品が滴翠美術館で一堂に展覧された大規模な展覧会として特筆されます。さらに、ルナ・ホール開館5周年を記念して1975年に開催された「第3回ルナ・フェスティバル」は、ホールの設計を手がけた建築家の山崎泰孝を中心に芸術家たちによって企画されたもので、約20日間にわたりルナ・ホールや芦屋川のほとりで美術・詩・音楽・演劇などの展示やイヴェントが行われ、多くの注目を集めました。一方、芦屋在住の実業家・植野藤次郎によって創設された「ジャパンエンバ美術コンクール」は「具体」会員の吉田稔郎が運営に関わり、1978年から17年間にわたり開催されました。第2部では、芦屋を発信地として文化・芸術の領域を拡げたこれらの動きとあわせ「具体」の登竜門として知られ現在も続く芦屋市展(1948-)を紹介し、「具体」が芦屋へもたらした影響とその革新性を考察します。
     

     
     
    《本展の特徴》
    1. 具体美術協会(具体:1954-1972)の全期の活動を所蔵作品だけで紹介できるのは当館だけ。
     当館は、芦屋ゆかりの前衛美術集団である「具体」会員たちの作品を1991年の開館以前の準備時代より収集してきました。この作品群は、世界に誇る珠玉の「具体」コレクションとなっています。本展では、当館コレクションから「具体」会員37名の作品約50点によって18年間の「具体」の活動を紹介します。
     
    2. 「具体」が芦屋へもたらした、新しい息吹
     「具体」で活動していた作家たちは1972年の「具体」解散後も、精力的に制作を続け様々な展覧会で発表します。一方で吉田稔郎や元永定正、松谷武判、今井祝雄らは、1970年代にルナ・ホールや滴翠美術館など芦屋の各所で開催されたビエンナーレや芸術祭などの企画に関わり、最新の美術・芸術の動向を発信しました。第2部では、この度の調査で当時の資料が数多く発見されたことで見えてきた、1970年代の芦屋の美術の動きを、作品と資料から辿ります。
     
    3.  幻の記録音源を初公開
     ルナ・ホール開館5周年を記念し、開催された「第3回ルナ・フェスティバル〈いま 芸術は・・・〉」(1975)に出演したタージ・マハル旅行団の演奏の音源や、元永定正のカーペインティングの記録音源を、記録写真とともに特別公開します。
    展示協力:岡本隆子(HEAR)、能美亮士
     
    4.  本展開催にあわせて「具体」作品をモチーフにしたグッズを製作
     
     
    《出品作家》

    東貞美、今井祝雄、上前智祐、浮田要三、大原紀美子、小野田實、金山明、
    菅野聖子、聴濤襄治、喜谷繁暉、木梨アイネ、坂本昌也、嶋本昭三、白髪一雄、
    白髪富士子、鷲見康夫、田井智、高崎元尚、田中敦子、田中竜児、坪内晃幸、
    名坂千吉郎、名坂有子、堀尾昭子、堀尾貞治、前川強、正延正俊、松谷武判、
    松田豐、向井修二、村上三郎、元永定正、山崎つる子、吉田稔郎、ヨシダミノル、
    吉原治良、吉原通雄 など

     
    出品作品:約50点 *資料等約100点 (予定)
     
     
    《関連イベント》*詳細は当館HPへ
    (1)講演会「『具体』とアメリカ抽象表現主義」
    日 時:7月6日(日)14:00ー15:30
    講 師:大島徹也(多摩美術大学芸術学科教授、多摩美術大学美術館館長)
    会 場:講義室
    定 員:80名(どなたでも)
    参加費:無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ
     
     
    (2)講演会「具体美術協会と1970年の大阪万博」
    日 時:8月9日(土)14:00-15:30
    講 師:加藤瑞穂(美術史家)
    会 場:講義室
    定 員:80名(どなたでも)
    参加費:無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ
     
      
    (3)講座「1970年代の芦屋の芸術-芦屋川国際ビエンナーレ、ルナ・フェスティバルなど」
    日 時:8月17日(日)14:00-15:30
    講 師:大槻晃実(本展担当学芸員)   
    会 場:講義室
    定 員:80名
    参加費:無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ
     
     
    (4)ワークショップ「元永定正さんの“流し”の絵画を体験しよう」
    日 時:7月26日(土)13:00-16:00
    講 師:川原百合恵(当館学芸員)  
    会 場:体験学習室
    対 象:20名、小学生以上 *要事前申込
    参加費:500円、要観覧券 
    ご希望の方は、7月15日(火)までに芦屋市立美術博物館宛
    メール(ashiya-bihaku@shopro.co.jp)もしくはお電話(0797-38-5432)にて
    お名前・年齢・ご住所・ご連絡先(電話・メールアドレス)を添えてお申し込みください。
    応募者多数の場合は抽選。
     
      
    (5)学芸員によるギャラリートーク
    日 時:7月12日(土)、8月3日(日) いずれも14:00から 1時間程度
    会 場:展示室
    参加費:無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ
     
     
    (6)ボランティアスタッフによる鑑賞サポート
    日 時:会期中毎水曜日 いずれも13:00から16:00(当日変更になる可能性あり)
    会 場:展示室
    参加費:無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ
     
     

  • 「隙あらば猫 町田尚子絵本原画展 」

    • 開催日:2025年3月15日 ~2025年6月15日

     
    プレスリリース
     
     

    会 期 2025年3月15日(土)-6月15日(日)
    休館日 月曜日(祝日は開館)、5月7日(水)
    開館時間日 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会 場 芦屋市立美術博物館 エントランスホール、第1展示室、第2展示室
    観 覧 料 一般 1,000 (800)円、大高生700 (560)円、中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方ならびにその介護者の方は各料金の半額になります。
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、サンテレビション、ラジオ関西
    企画協力 青幻舎プロモーション

     
     

    《展覧会概要》
     画家・絵本作家の町田尚子は、絵本の物語を大胆な構図と繊細なタッチで描くことで、その文章が生きる空間を表現しています。町田尚子の座右の銘は「隙あらば猫」。童話や遠野物語、怪談絵本など、様々な物語の中で猫を主人公として、時に脇役として登場させています。描かれた猫たちは、毛並みから仕草、表情まで緻密に表現され、猫と暮らす町田の観察眼の鋭さ、そして猫を慈しむ眼差しが感じられます。
    本展では、『ネコヅメのよる』『なまえのないねこ』『ねこはるすばん』などの代表作をはじめ、デビュー作から最新作までの絵本原画や装画約250点を制作資料とあわせて紹介します。当館を題材に描きおろした作品も展示します。
     
     

    • 町田 尚子(画家・絵本作家)
       1968年東京都生まれ。武蔵野美術大学短期大学部卒業。2007年に『小さな犬』で絵本作家としてデビュー。『いるの いないの』『おばけにょうぼう』『さくらいろのりゅう』などの絵本を手がける。近年では『ネコヅメのよる』『なまえのないねこ』『ねことねこ』『ねこはるすばん』『どすこいみいちゃんパンやさん』など、猫が主人公の絵本を制作し、人気を博している。作品集に『町田尚子画集 隙あらば猫』がある。

     
     
    《出品予定作品・資料》

     
     
    《関連イベント》
    (1) 特設展示「ねこ掲示板 うちの猫(こ)自慢」
    展示期間:本展会期中
    募集期間:3月15日(土)~4月30日(水)
    応募資格:どなたでも
    会  場:1階
     
     
    (2)トークフリーデイ
    日  時:3月30日(日)10:00~17:00(終日)
    自由におしゃべりを楽しめる鑑賞日
     
     
    (3) 絵本読み聞かせ会
    日  時:3月30日(日)14:00~15:00
    定  員:60名
    読 み 手:さくら(ナレーター)
    参 加 費:無料(要観覧券)
    会  場:講義室
     
     
    (4) 町田尚子サイン会
    日 時:4月27日(日)13:00~/14:00~/15:00~
    定  員:90名(各回30名、要事前申し込み)※当館で、購入された本展図録あるいは絵本限定
    参 加 費:無料(要観覧券)
    会  場:講義室
     
     
    (5) ワークショップ「モールで猫をつくろう」
    日 時:5月3日(土)14:00~15:00
    定  員:20名(先着申込順)
    講  師:当館職員
    参 加 費:500円*材料費(要観覧券)
    会  場:体験学習室 
     
     
    (6) ワークショップ「バルーンで生き物を作ろう」
    日  時:5月5日(月・祝) 14:00~16:00
    定  員:なし
    講  師:バルーンおじさん
    参 加 費:無料(要観覧券)
     
     
    (7) ホールコンサート「初夏の風に猫は踊る」
    日  時:5月18日(日)14:00~15:00
    定  員:100名
    奏  者:金澤佳代子(ピアニスト)
    参 加 費:無料(要観覧券)
    会  場:1階ホール
     
     
    (8) ワークショップ「猫に変身イラストワークショップ」
    日  時:6月1日(日)14:00~15:30
    定  員:20名(先着申込制)
    講  師:キムラトモミ(画家)
    参 加 費:300円*材料費(要観覧券)
    会  場:体験学習室
     
     
    (9) ピアノワークショップ「みんなで弾こう『ねこふんじゃった』」
    日  時:6月8日(日)14:00~15:30
    定  員:20名(先着申込制)
    企画協力:I LOVE ASHIYA
    さくら(ナレーター)
    参 加 費:無料(要観覧券)   
    会  場:1階ホール
     
    【申込について】
    *(1)は応募制、(4)、(5)、(8)、(9)は事前申込が必要※先着順 詳細は美術博物館HPイベント欄を参照ください。

  • 令和7年度 歴史企画展「芦屋の焼き物たち」

    • 開催日:2025年3月15日(土)~6月15日(日)、2025年7月5日(土)~8月31日(日)

    歴史資料展示室企画展示スペース
    ※開館時間・休館日・観覧料は展覧会に準ずる

     

     
     

    《展示内容》
     「焼き物」とは、土を練って形を作り、熱を加えて焼き固めたものです。茶碗・湯呑・土鍋・花瓶など、現在の私たちの暮らしの中には焼き物があふれています。
     このように身近な焼き物の歴史についてご存知でしょうか。縄文土器・弥生土器・土師器・須恵器・陶器・磁器など、実ははるか昔から、人びとの暮らしの中には焼き物があったのです。
     本展では、私たちの生活と深く関わり合っているけれど、あまり知られていない、焼き物の歴史について紹介します。また、芦屋の代表的な焼き物である打出焼についても、その歴史のなかに位置づけつつ紹介します。

  • 第42回芦屋市造形教育展

    • 開催日:2025年2月15日 ~2025年2月23日

    【開催概要】
    芦屋市内の就学前施設、小学校、中学校の子どもたちの作品を、全館にわたり展示します。
     
    【会期】
    2025年2月15日(土)-2月23日(日)
    午前10時-午後5時(入館は午後4時30分まで) 
     
    【休館日】
    2月17日(月)
     
    【会場】 
    芦屋市立美術博物館
     
    【観覧料】
    無料
     
    【主催】 
    芦屋市教育委員会、芦屋市造形教育研究会
     
    【お問い合わせ】
    芦屋市教育委員会学校支援課(TEL:0797-38-2143/平日執務時間内)
    ※歴史資料展示室では、常設展および企画展「芦屋と阪神・淡路大震災」を開催中
     


     
    第41回芦屋市造形教育展の様子 (2023年度)
  • 「とあるひのこと 平井真美子」

    • 開催日:2025年3月1日

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    プレスリリース
     
     
    会期
    2025年3月1日(土)
     
    開館時間
    ① 展覧会10:00-17:00(入館は16:30まで)
    ② ライブ18:00-19:30(入場は17:30‐) 
     
    会場
    芦屋市立美術博物館
     
    観覧料
    ①展覧会 一般(当日)2,000円、一般(前売り)1,500円、
      大高生(当日・前売り共に)1,000円、中学生以下無料
    ②ライブ 一般5,500円、学生(小学生から大学生まで)3,500円、未就学児無料
      *ライブ観覧料には展覧会観覧料が含まれています。 
      定員200名(チケット整理番号順にて入場) 
     
    主催
    night cruising、芦屋市立美術博物館
     
    出品・出演者
    平井真美子
     
    企画
    アレ企画
     
    協力
    DAISY BALLOON、大脇千加子(WONDER FULL LIFE)、 Flysound Co.、PIANOPIA、サイトヲヒデユキ
     
     2020年11月に芦屋市立美術博物館で開催した「美術と音楽の9日間『rooms』」で平井真美子氏は、ピアノでの対話「とあるひ」と題したイベントを開催しました。ライブ前のひととき、日中に開催された本イベントでは、コロナ禍で過ごす中から生まれてくる想いを紡ぎ、時のメモのような音の日記を綴っていた平井氏が、その時の館内の景色、観客の中で、即興でピアノを演奏しながら過ごし、ピアノを介してさまざまな対話を試みました。その場に居合わせた人々は、平井氏の音に誘われるように、各々の「とあるひ」を想い、心の中で日々の時間を奏でたことでしょう。悲しい日、嬉しい日、特別な日、いつもの何気ない日など、そのどれもがかけがえのない大切な「とあるひ」であることを、平井氏の音は気づかせてくれたはずです。 以降、平井氏は当館へ何度も足を運び、折々の展覧会を鑑賞し、空間を楽しむなど、数えきれない時間を過ごしてきました。
     2019年12月より始めた音の日記「とあるひ」は、58日分の音のスケッチとなりました。その音を収録するため、2022年初夏に芦屋市立美術博物館でレコーディングを行い、アルバム「とあるひ 記録集」が完成しました。
     この度、「とあるひ 記録集」のリリースを記念し、当館のホールや展示室、回廊といった様々な空間で立体作品の展示や公開録音、トークやライブなどを行います。光と闇、時をキーワードに平井氏の「とあるひ」をご鑑賞ください。
     
     目には見えない音の在処を見る者の心を通して形象化する。そんな果てなき好奇心を平井真美子と芦屋市立美術博物館が共に手を取り、音と空間を通して象る1日限りのイベント「とあるひのこと 平井真美子」
     
     平井自身が奏でる日々の音の欠片を美術博物館が持つ三つの展示空間に響かせ一人一人の心や体を癒し、そして問いかけます。共鳴する魂の音心浴。ぜひご体験ください。

     
     
    第1展示室:”kurayami”

    •  暗い空間に、ピアノやギターの弦の廃材を再利用したオブジェが浮遊し、深々と静かにその輝きを放つインスタレーション作品を展示します。それぞれの心に語りかけるような内省のひとときを体感してください。

     
    第2展示室:”hidamari

    •  今では希少となった約100年前に作られたミニピアノや足踏みオルガンを平井が演奏し、この日にしか生み出せない「音」の公開録音を行います。展示室内では、修復の際に取り出されて廃材となったピアノのパーツや平井が愛する様々な「モノ」たちから奏でられる音とともに、鑑賞者のささやき声や靴音といった「環境音」が響くことでしょう。平井と鑑賞者とともに演奏する「音の展示」をお楽しみください。

     
    エントランスホール:”itonami”

    •  14mの吹き抜けをもつエントランスホールでは「とあるひ 記録集」の制作現場を再現します。この記録集には、その日のその時々の言葉とマテリアル(スケッチ、押し花、写真、鳥の羽など)を透ける紙に重ね合わせ、作者の日常、眼差しの向こうにある景色を感じとれるようなブックレットが添えられており、当日は手に取ってご覧いただけます。展示物の鑑賞とあわせ、平井と制作に関わる作家たちとのトークイベントを開催するほか、18時からは「とあるひ」の収録で使用したグランドピアノや、平井が愛用する古楽器を奏でるライブを行います。

     
     
    展覧会の前売りチケット、およびライブチケットの購入方法
    オンラインチケット「LivePocket」にてチケット販売(2/1(土)12:00-)
    https://t.livepocket.jp/t/20250301_toaruhi
    *チケットのお申込みには LivePocket の会員登録が必要になりますので、あらかじめご了承ください。*チケット購入ページに掲載している「注意事項」をよくお読みいただき、ご了承の上でチケットをご購入いただきますようお願いいたします。
     
    お問合せ
    [チケット購入について]
    night cruising
    E-Mail: info@nightcruising.jp  Tel: 050-3631-2006 (FE 12:00-18:00)
     
    [展示内容について]
    当日は飲み物や軽食の販売を予定しています。追加の情報は美術博物館のホームページ、SNS等で発信予定です。出演アーティストのSNS等もあわせてご確認ください。
    (※2025.2.22追加)
    当日、敷地内では、BakeRoccaさんとcafe FLAGさんにご出店いただきます。
    〇BakeRocca
    ヴィンテージ家具屋の焼菓子
    Instagram: @bake.rocca
    ◯cafe FLAG
    ミニお弁当、ライスバーガーセットの軽食と珈琲、紅茶、ジュース
    Instagram: @flagcafe
     
    芦屋市立美術博物館
    Tel: 0797-38-5432  
    http://ashiya-museum.jp
    X: @ashiyabihaku
    Instagram: @ashiyacitymuseum
     
     
    ■出演アーティスト

    • 平井 真美子 Mamiko Hirai
       
      音楽家。ピアノの他に足踏みオルガンやミニピアノなど古い鍵盤楽器を軸に、”とあるひ”と題した短編曲を創作。2024年4月にはアルバム「とあるひ記録集」をリリース。また劇伴作家としてもドラマ「過保護のカホコ」映画「白夜行」「恋妻家宮本」、NHK-BSプレミアム「にっぽん縦断こころ旅」など幅広く作品を手掛ける。2012年、新進気鋭のアーティストに贈られるアメリカのS&R Washington Awardを受賞。クラシックのソリストへ委嘱作品を創作するなど、活動は多岐に渡る。
      http://www.hirai-mamiko.com
      Instagram: @mamiko.hirai
      X: @hiraimamiko

     
     
    1,4 Photo by Sai
    2.3,5,6 Photo by yayoi Arimoto
     
    「とあるひのこと 平井真美子」ご案内チラシ

  • 芦屋の文化財再発見 ―最新のヨドコウ迎賓館温室跡発見まで―

    • 開催日:2024年11月30日 ~2025年2月9日

    プレスリリース 展列品一覧
     
     

    会 期 2024年11月30日(土)-2025年2月9日(日)
    休館日 月曜日(祝日は開館)、2025年1月14日(火)
    年末年始(2024年12月28日(土)~2025年1月4日(土))
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会 場 芦屋市立美術博物館 エントランスホール、第1展示室、第2展示室
    観 覧 料 一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方ならびにその介護者の方は各当日料金の半額になります。
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、NHK神戸放送局、サンテレビション、ラジオ関西

     
     

    《展覧会内容》
     文化財とは我が国の長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで伝わっている貴重な財産のことです。その中で我々が遺跡と呼んでいるものは埋蔵文化財に区分されます。芦屋市には金津山古墳や芦屋廃寺跡といった埋蔵文化財が数多く存在します。
     芦屋市の埋蔵文化財は古くから人々の関心を集め、芦屋市教育委員会による発掘調査が行われる前から、地表に落ちている土器などを調査していた在地の研究者もいました。文化財保護行政が整備されると、市教育委員会によって土地開発による遺跡の破壊を防ぐための発掘調査が数多く行われ、そこで様々な遺跡が発見されました。
     1995年に発生した阪神・淡路大震災の復興に伴う発掘調査によって、各遺跡の詳しい性格や年代などの発見がありました。現在でも市内の調査は続いており、2023年にはフランク・ロイド・ライトが設計したヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)の発掘調査が行われました。そこでは、かつて存在していた温室や渡り廊下などの付属施設の痕跡が見つかりました。
     本展では、市内遺跡の出土品を通して、芦屋市の発掘の歴史について展示します。
     また、仏教美術資料や『伊勢物語』といった、多分野にわたる当館所蔵の歴史資料も展示し、人々が守り続けてきた芦屋の歴史と文化の魅力を様々な観点から紹介します。

     
     
    《主な展示物》
    第1展示室  芦屋廃寺跡や金津山古墳などの遺跡から見つかった出土品を紹介
     

     
    1.流水文銅鐸(芦屋市指定文化財/弥生時代/阿保山親王寺蔵)
    2.三角縁波紋帯三神二獣鏡 (芦屋市指定文化財/古墳時代/阿保山親王寺蔵)
    3.子持器台(旭塚古墳出土/飛鳥時代/芦屋市三条文化財整理事務所蔵)
    4.黄釉鉄絵陶器盤(芦屋市指定文化財/寺田遺跡出土/平安時代末期から鎌倉時代初頭/芦屋市立美術博物館蔵)
    5. 複弁蓮華文軒丸瓦(芦屋廃寺跡出土/飛鳥時代後期/芦屋市立美術博物館蔵)
    6. 双龍環頭大刀(芦屋市指定文化財/八十塚古墳群出土/古墳時代後期/芦屋市立美術博物館蔵)
    7. ヨドコウ迎賓館 発掘された渡り廊下跡
     
     
    第2展示室  芦屋市立美術博物館館蔵品の歴史資料を「仏教美術」「中近世史」「伊勢物語」「近現代史」の4つに分けて紹介
     

     
    8. 『三好長康山論裁許状』附挟板(芦屋市指定文化財/戦国時代/芦屋市立美術博物館蔵)
    9. 太平記(江戸時代初頭/芦屋市立美術博物館蔵)
    10. 徳本上人像(江戸時代/芦屋市立美術博物館蔵)
    11. 涅槃図(江戸時代/芦屋市立美術博物館蔵)
    12. 伊勢物語画帖(江戸時代中期/芦屋市立美術博物館蔵)
    13. 打出焼(明治時代末期から昭和時代/芦屋市立美術博物館蔵)
    14. 児玉多歌緒スケッチブック 谷の断片(芦屋川)(昭和時代初頭/芦屋市立美術博物館蔵)
    15. 児玉多歌緒スケッチブック 地獄谷の奥─岩とあそぶ子等⑵六甲山習作(昭和時代初頭/芦屋市立美術博物館蔵)
    16. 在原業平図像(昭和時代/芦屋市立美術博物館蔵)

     
     

    《関連イベント》
    (1)講演会「大発見でつづる芦屋の遺跡」

    日時 12月7日(土)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 森岡 秀人氏(奈良県立橿原考古学研究所 客員研究員)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 60名

     
    (2)講演会「歌名所としての芦屋~『伊勢物語』にみる絵画表現~」

    日時 12月14日(土)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 明尾 圭造氏(大阪商業大学 教授)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 60名

     
    (3)サイレント映画上映会「知って観て楽しむサイレント映画~ピアノ生伴奏つき~」

    日時 12月15日(日)13:30—16:00 *途中休憩あり
    会場 美術博物館 講義室
    上映作品 「シー・ホーク」(1924/アメリカ/123分)
    奏者 鳥飼 りょう氏(楽士・サイレント映画ピアニスト)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 60名

     
    (4)講演会「謎多き古代寺院―芦屋廃寺―」

    日時 12月21日(土)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 山本 剛史(芦屋市立美術博物館 学芸員)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 60名

     
    (5)講演会「国指定重要文化財ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)の魅力」

    日時 12月22日(日)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 竹村 忠洋氏(芦屋市国際文化推進課 学芸員)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 60名

     
    (6)歴史ウォーク「芦屋博士と歩く 石から見る芦屋の歴史」

    日時 1月12日(日)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 三宅 正弘氏(武庫川女子大学 教授)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 30名※要申込・先着順

     
    (7)ミニコンサート
    「令和6年度県内芸術家ロビーコンサート 
    磯辺陽ヴァイオリンミニコンサート ~チェコの響き、大陸への歴憧~ 」

    日時 1月19日(日)17:00-17:30
    会場 美術博物館 ホール
    奏者 磯辺 陽氏(ヴァイオリニスト)、猪瀬 千裕氏(ピアニスト)
    参加費 無料
    定員 60名

     
    (8)歴史ウォーク「芦屋博士と歩く 芦屋浜モダニズム」

    日時 1月26日(日)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 三宅 正弘氏(武庫川女子大学 教授)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 30名 ※要申込・先着順

     
    (9)ホールコンサート
    「ヴァイオリンとピアノで巡る和のハーモニー ~芦屋が育てた貴志康一~」

    日時 2月2日(日)14:00-15:00
    会場 美術博物館 講義室
    奏者 中嶋 弥生氏(ヴァイオリニスト)
    山中 歩夢氏(ピアニスト・東京芸術大学、同志社女子大学 非常勤講師)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 100名

     
    (10)講演会「芦屋の仏教文化財をめぐって」

    日時 2月9日(日)14:00-15:30
    会場 美術博物館 講義室
    講師 杉﨑 貴英氏(帝塚山大学 教授)
    参加費 無料(要観覧券)
    定員 60名

     
    (11)当館学芸員によるギャラリートーク

    日時 12月1日(日)、1月13日(月・祝)、2月1日(土)
    各日11:00-、14:00-
    会場 芦屋市立美術博物館 展示室
    参加費 無料(要観覧券)

     
    【申込について】
    *(6) (8)は事前申込が必要※先着順 詳細は美術博物館HPイベント欄にて確認ください
     

  • 特別展「今井祝雄 ―長い未来をひきつれて」

    • 開催日:2024年9月14日 ~2024年11月17日

     
    プレスリリース 出品リスト
     
     

    会 期 2024年9月14日(土)-11月17日(日)10:00-17:00(入館は16:30まで)
    休館日 月曜日(ただし9月16日(月・祝)、9月23日(月・振休)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・振休)は開館、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)は休館)
    観 覧 料 一般900(720)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者の方は各当日料金の半額
    *リピート割引:本展チケットの半券をご提示いただいた方は、団体割引料金でご覧いただけます。(1枚につきお一人様1回限り、他の割引券との併用不可)
    ※11月9日(土)、10日(日) はあしやつくるば開催のため観覧無料
    会 場 芦屋市立美術博物館
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、Kiss FM KOBE
    協 力 藤本由紀夫、林勇気、 ARTCOURT Gallery、Yumiko Chiba Associates

     
     

    《展覧会概要》
     1946年に大阪で生まれた今井祝雄は、大阪市立工芸高等学校在学中の1964年、17才の時に第14回具体美術展へ初出品し、翌年最年少作家として「具体美術協会(具体)」会員となりました。1966年に「第10回シェル美術賞」で一等賞を受賞し、同年7月にグタイピナコテカで個展を開催、絵画や立体作品、モーターを利用した作品を「具体」で発表する一方、「第1回草月実験映画祭」(草月会館ホール・東京、1967)や「現代の空間’68-光と環境」(そごう・神戸、1968)では映像や光による作品を発表するなど、「具体」の新時代を担うメンバーの一人として活躍します。1970年代以降は、写真や映像、音などのメディアを用いた、空間や環境についての深い思索にもとづく作品や、パフォーマンスを含む身体的な表現を通して「空間」「時間」「現象」「存在」といった人間にとっての根源的な主題について考察する作品を数多く制作する一方、街中の公共的空間に作品を設置する活動も行うなど、現在も国内外で精力的に発表を続けています。
     本展は、作家活動60年の節目に開催する、美術館では初の今井祝雄の個展となります。1960年代から80年代の平面、写真、映像作品を中心に、コロナ禍に生まれた作品や本展に向けて制作される新作を展示し、若くして作家活動をスタートした10代から現在にいたるまでの多様な活動を多角的に紹介し、今井祝雄という作家の知られざる全体像を明らかにする試みです。

     
     
    《本展の見どころ》
    今井祝雄という作家の全体像を明らかにする試み
    本展は、初個展「17才の証言」(ヌーヌ画廊・大阪、1964年)や第14回具体美術展に初出品し、作家としてスタートした1964年から60年の節目となる2024年に開催します。
    本展に向けて制作される新作《瀑布-ビデオの時代》から始まり、60年代から80年代に発表された平面、写真、映像、音などのメディアを用いた作品や関係資料約100点を展示するこの展覧会は、時間をさかのぼるような構成になっています。各時代の動きに敏感に反応しながら、「空間」「時間」「現象」「存在」といった人間にとっての根源的な主題を軸に展開していく今井の活動をまとまって振り返ることの出来る、初の機会となります。
     
    1970年代の〈音〉の作品や関連資料を展示
    向かい合わせに接した2基のスピーカーから、1975年、1976年に収録した今井の心臓音が響き合う《Two Heartbeats of Mine》(1976)を展示するほか、ドーム空間の遮光されたほぼ完全な暗闇の中に座る鑑賞者に向けて、中央からストロボ撮影するというパフォーマンス《八分の六拍子》(1976)で流れた自身の心臓音からメトロノームへと移り変わる八分の六拍子の〈音〉を、芦屋市立美術博物館の特徴的な空間に合わせて展示し、今井が関心を寄せ続ける〈音〉について考察します。
     
    1970年代~80年代の映像作品を多数紹介する上映会を開催
    今井祝雄は、「空間」「時間」「存在」といった根源的な問いを、自らの身体を用いた行為によって思索し、その場で生じた「現象」を写真や映像に留め作品とします。
    本展では、未発表の映像作品を含め、1970年代から80年代の映像作品を中心に構成した上映会を行います。これまで今井の映像作品をまとめて鑑賞する機会は少なく、本上映会は貴重な機会となります。
     
    本展図録を水声社より刊行予定
    (A5判、144ページ、定価3,000円(税込)(予定) 2024年10月中旬予定)
    本書は、「具体」期の活動から、ものと人間の関係への問い、映像・写真というメディアへの取り組みなど、今井祝雄の60年にわたる多彩な活動を紹介し、その活動の軌跡を明らかにします。
    勝俣涼(美術批評・表象文化論)、高嶋慈(美術・舞台芸術批評)による書き下ろしの批評や、今井祝雄と藤本由紀夫の対談を収録。今井の活動を辿るだけにとどまらず、作品の今日的な意義を問い直し、現在の活動にも迫ります。
     
     
    《出品予定作品・資料》
    約100点(予定)
     
     
    《関連イベント》*詳細は当館HPへ
    (1)特別イベント「DVD上映+パフォーマンス+トーク」

    日時 9月21日(土)13:00-17:00(予定)

    ○プログラムA 円、パーティーでピザを食べる 13:00-
    《円》(1967)、《ツリーパフォーマンス》(1984)、《Pizza Time》(1983)
    ○プログラムB 素描、歩く石、椅子と机の上から、穴を覗く 14:3014:00-
    《素描/影像 1973 / 2021》(1973 / 2021)、《百歩石》(1986)、《マレーネ・ディートリヒ》(1982)、《On the Table》(2012)、《穴の男・ 覗く人》(1988 / 2022)
    内容 特別上映会にあわせ、今井祝雄氏による《pizza Time》の再演と、スペシャルトークを行います。
    出演 今井祝雄(本展出品作家)、林勇気(映像作家)
    会場 講義室
    定員 60名(どなたでも)
    参加費 無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (2)上映会「時間劇場:1970年代―80年代を中心に」

    日時 10月19日(土)、11月2日(土)、11月16日(土) 10:00-17:00
    *映像作品をループ上映
    会場 講義室
    定員 60名(どなたでも)
    参加費 無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (3)対談「たとえば目と耳について」

    日時 10月6日(日) 14:00-15:30
    講師 今井祝雄(本展出品作家)、藤本由紀夫(アーティスト)
    会場 講義室
    定員 60名(どなたでも)
    参加費 無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (4)今井祝雄と“石”巡り

    日時 10月26日(土)13:00-16:00(予定) *小雨決行
    案内人 今井祝雄(本展出品作家)
    訪問地 新大阪、南船場、豊中ほか
    対象 どなたでも 15名 *要事前申込
    参加費 200円(レクリエーション保険代)、要観覧券、*移動に伴う交通費は別途各自負担
    ご希望の方は、10月18日(金)までに
    芦屋市立美術博物館に
    メール(ashiya-bihaku@shopro.co.jp)もしくはお電話(0797-38-5432)にてお名前・年齢・ご住所・ご連絡先(電話・メールアドレス)を添えてお申し込みください。
    応募者多数の場合は抽選。

     
    (5)学芸員によるギャラリートーク

    日時 9月16日(月・祝)、10月12日(土)
    いずれも14:00から 1時間程度
    参加費 無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
     

    《出品作品・資料(予定)》

     
    1 グタイピナコテカでの個展会場風景、1966
    2 《作品》 1965 アクリル、ミクストメディア、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    3 《円》 1967 モノクロ、サウンド(4分3秒)
    4 《Two Heartbeats of Mine》 1976 インスタレーション 合体スピーカー、心音テープ、プレイヤー2台
    5 《Red Light―L》より 1976 ゼラチンシルバー・プリントに一部手彩色
    6 《タイムコレクション》 1981 CBプリント
    7 《矩形の時間》 1980 ビデオテープによるパフォーマンス(21分18秒)
    8 《ターミナルビルの一日》 1983-84 カラー、サウンド(1分57秒)
    9 《Pizza Time》 1983 パフォーマンス/カラー、サウンド(9分51秒)
    10 《デイリーポートレイト》 1979-、インスタント写真
    2以外、作家蔵

     
     
    《略歴》
     今井祝雄 Imai Norio
     
     1946年大阪市生まれ。1965年大阪市立工芸高等学校美術科洋画コース卒業。高校在学中、同級生の蟻田哲と共に、大阪中之島に開館したグタイピナコテカを訪問し「具体美術協会(具体)」を知る。1964年、ヌーヌ画廊(大阪)で初個展「17歳の証言」展を開催、来場した吉原治良に誘われ、同年「第14回具体美術展」に出品、翌年「具体」会員となる。1966年に「第10回シェル美術賞」で一等賞を受賞、同年7月にグタイピナコテカで個展を開催。白一色で塗られた絵画や立体作品、モーターを利用した作品を「具体」で発表する一方、「第1回草月実験映画祭」(草月会館ホール・東京、1967)や「現代の空間’68-光と環境」(そごう・神戸、1968)では映像や光による作品を発表するなど、「具体」の新時代を担うメンバーの一人として活躍、「具体」が解散する1972年まで会員として活動した。「具体」解散以降は、写真や映像、音などのメディアを用いた、空間や環境についての深い思索にもとづく作品や、パフォーマンスを含む身体的な表現を通して「空間」「時間」「現象」「存在」といった人間にとっての根源的な主題について考察する作品を数多く制作するとともに、街中の公共的空間に作品を設置する活動も行うなど、現在も国内外で精力的に発表を続けている。
     主なコレクションに、芦屋市立美術博物館、大阪中之島美術館、大阪府、京都国立近代美術館、国立国際美術館、滋賀県立美術館、東京都写真美術館、兵庫県立美術館、福岡市総合図館書、宮城県美術館、天目里美術館(中国)、アクセル・アンド・メイ・ヴェルヴォ-ルト財団(ベルギー)、ゲティ・センター(アメリカ)、ファーマサイエンス・コレクション(カナダ)、ラチョフスキー・コレクション(アメリカ) ほか多数。

  • 令和6年度 歴史企画展 「芦屋と阪神・淡路大震災」

    • 開催日:2024年9月14日 ~2025年2月23日

    歴史資料展示室企画展示スペース
    ※開館時間・休館日・観覧料は展覧会に準ずる
     

    横倒しとなった阪神高速道路

     
     

    《展示内容》
     1995年1月17日5時46分に淡路島北部沖の明石海峡を震源とするマグニチュード7.3の大規模な地震が発生しました。その被害は甚大で、第二次世界大戦後に発生した自然災害の中でも、東日本大震災が発生するまでは最大規模のものでした。
     阪神・淡路大震災と名付けられたこの自然災害は、震源地に近かった芦屋にも大きな被害を与えました。
     2025年には震災から30年を迎えますが、震災を経験していない世代や震災後に芦屋へ移り住んだ人々も増加しています。
     本展では、当時の記録写真を展示し、市内各地の被災状況や復興の歩みを紹介します。

     
     

  • 特別展
    創立100周年記念
    信濃橋洋画研究所 ―大阪にひとつ美術の花が咲く―」

    • 開催日:2024年6月22日 ~2024年8月25日

     
    プレスリリース 出品リスト
     
     

    会 期 2024年6月22日(土)―8月25日(日)
    休館日 月曜日(ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)は休館 )
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会 場 芦屋市立美術博物館
    観 覧 料 一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    ※ 歴史資料展示室の観覧料も含む ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者の方は各当日料金の半額
    ※7月15日(月・祝)は「ひょうごプレミアム芸術デー」として観覧無料
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、朝日新聞神戸総局、神戸新聞社、NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE
    助 成 公益財団法人 朝日新聞文化財団、芸術文化振興基金

     
     

    《展覧会概要》
     大正末から昭和初期にかけて、大阪が面積・人口ともに日本一の近代都市となった大大阪時代。その最中1924年、大阪市西区信濃橋交差点に「信濃橋洋画研究所」が誕生しました。前年にそろって二科会員となった気鋭の洋画家・小出楢重、黒田重太郎、鍋井克之、国枝金三が、東京や京都に比べて芸術の実らない地とされていた大阪で、洋画家を志す者の指導を目的に開設したものです。
     本研究所での講習は、デッサンや油絵などの実技と、美術史や解剖学といった講義によって構成され、ここで学生から会社勤めの者まで幅広い層が学びます。彼ら研究生以外にも門戸を開き、全国から希望者が殺到した夏季講習会や、講習成果発表の機会となった研究所展(第4回から「全関西洋画展」)などの先進的な取り組みも次々に実施し、1944年に閉鎖されるまでの約20年間に、多くの才能が輩出されました。自らが体得してきた洋画の技術を次世代に伝えるべく奔走する講師陣と、その教えを吸収しようとする研究生たちの活気ある交流によって、講師陣が目指した「大阪市にも一つの美術の花が咲く」*という文化的な土壌が、確かに醸成されていったのです。
     講師の一人・小出楢重が晩年を過ごし、本研究生も集った芦屋の地で、創立から100周年の節目に開催する本展は、信濃橋に集った画家たちの作品を一堂に展観するとともに、彼らの回想や講習カリキュラムなどから、ここでの指導と学びの実態を再検証するものです。
     本研究所が洋画界に吹きこんだ新風と花開いた成果をご覧いただき、関西の洋画史へ理解を深めていただく機会となりましたら幸いです。
     *鍋井克之が第1回研究所展に寄せた文章より(『週刊朝日』第23号、1924年11月23日、p.9)
     
    《本展の見どころ》
    (1)近代洋画の名品たち ―関西洋画壇を代表する20作家の60作品を一堂に展観。
    信濃橋洋画研究所で初代講師を務めた小出楢重国枝金三黒田重太郎鍋井克之の4者をはじめとする個性豊かな講師陣や、本研究所で学んだ画家たちは、当時、そしてその後の関西洋画壇を背負って立つ存在でした。
    本展では信濃橋洋画研究所を起点に生み出された洋画の名品を、大大阪という活気ある時代背景のもと一堂に展観します。さらに近年新たに発見された小出楢重作品や、公立美術館では初公開となる黒田重太郎作品も展示します。
     
    (2)信濃橋洋画研究所に集った画家たちの言葉から、その活動の実態に迫る。
    本研究所の取り組みは、これを後援していた『朝日新聞』『週刊朝日』にて、記録写真や講師陣が寄せた文章によって随時紹介されていたほか、複数の研究生が回想を残しています。
    本展では、これらの画家たちが残した文章言葉から、本研究所での指導と学びの実態を検証紹介します。
     
    (3)全国の洋画講習会の先駆け!夏季講習会の全容を明らかに
    研究所開設の年から『週刊朝日』の後援で実施された夏季講習会は、研究生以外も参加でき、全国から希望者が殺到するほど人気を博します。実技・学科講習関西名勝地での風景写生実習が十数日間にわたり実施されたこの講習会は、その後全国の美術団体や研究所が開催するようになる先駆けとなりました。
    本展では、講習カリキュラム小出楢重旧蔵の写真資料、週刊朝日に掲載された講師陣の報告やエッセイなどから、この講習会の内容を詳しく紹介します。
     
    (4)洋画を学ぶプロセスとは? ―洋画家としての修業過程
    小出楢重と鍋井克之は東京美術学校で、国枝金三と黒田重太郎は京都の画塾・関西美術院でそれぞれ絵を学びます。
    このような当時の洋画教育機関の状況も踏まえつつ、石膏像人体モデルデッサンから、油絵具による絵画制作へと至る洋画習得の過程を、小出と黒田の初期のデッサンや資料によって紹介します。
     
    (5)信濃橋から芦屋へ ―小出楢重を慕った画家たち
    小出楢重に師事するため来阪、のちに書生となり小出家で暮らした松井正は、本研究所の開設当初からここで学びつつ講師陣の手伝いをするようになります。長谷川三郎山崎隆夫仲田好江らは研究所で学ぶ一方、1926年に芦屋へ転居した小出のアトリエへも通い、直接指導を受けました。
    本展では、これらの画家たちと小出が芦屋の地で結んだ師弟関係について、彼らの作品および資料から紹介します。当館前庭に復元されている小出のアトリエでも関連した小展示を行います。

     
    《出品作家》
    〇初代講師を務めた画家たち:小出楢重、国枝金三、黒田重太郎、鍋井克之  
    〇研究所に学び、のちに講師となった画家たち:古家新、松井正、田村孝之介、山本直治、浜田葆光、伊藤継郎、小出卓二、藤井二郎
    〇学んだ画家たち:飯島一次、井上覺造、木村敏、高岡徳太郎、津高和一、仲田好江、長谷川三郎、山崎隆夫

     
     

    出品予定作品・資料

     
    1 松井正《都会風景》1924年 油彩、カンヴァス 大阪中之島美術館蔵
    2 国枝金三《都会風景1(信濃橋)》1925年 油彩、カンヴァス 大阪市立美術館蔵 *第12回二科展
    3 小出楢重《帽子のある静物》1923年 油彩、カンヴァス 公益財団法人 西宮市大谷記念美術館蔵 *第10回二科展
    4 鍋井克之《鴨飛ぶ湖畔》1932年 油彩、カンヴァス 大阪市立美術館蔵 *第19回二科展
    5 黒田重太郎《不老長春図》1938年 油彩、カンヴァス 星野画廊蔵 *第12回全関西洋画展
    6 長谷川三郎《トロッコ》1924年頃 油彩、カンヴァス 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵 *白象会第2回展
    7 小出楢重《素描(石膏デッサン)》1911年頃 木炭、紙 芦屋市立美術博物館蔵
    8 信濃橋洋画研究所 開所式(1924年4月3日)
      前列左より鍋井克之、小出楢重。中列左より国枝金三、黒田重太郎
    9 裸婦デッサンに取り組む研究生たち(1930年頃)
    10 第5回夏季講習会 滋賀県大津での風景写生実習(1928年8月)
      左より国枝金三、鍋井克之、黒田重太郎
     
     
    《関連イベント》
    (1)講演会「信濃橋の時代」

    日時 6月23日(日)14:00-15:30
    講師 山野英嗣(和歌山県立近代美術館 館長)
    会場 講義室 80名(どなたでも)
    *聴講無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (2)スライドトーク「洋画を学ぶ ―信濃橋に集った画家たちの交流とともに」

    日時 7月27日(土)14:00-15:30
    講師 川原百合恵(本展担当学芸員)
    会場 講義室 80名(どなたでも)
     *聴講無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (3)街歩きイベント「大大阪を歩く・大阪近代建築めぐり」

    日時 6月30日(日)10:00-13:00
    講師 髙岡伸一(近畿大学建築学部 教授)
    場所 大阪市北浜~中之島付近の近代建築が残る地域
    参加費 200円(レクリエーション保険代等)+各施設入場料実費
    対象 小学生以上 20名
    *事前申込制、6月14日(金)締切
    お電話(0797-38-5432)かメール(ashiya-bihaku@shopro.co.jp)にて、【お名前・年齢・ご住所・ご連絡先】をお伝えください。応募多数の場合は抽選となります。
    *詳細は追って当館HPでお知らせします。

     
    (4)学芸員によるギャラリートーク

    日時 7月6日(土)、7月15日(月・祝)、8月18日(日)各回14:00
    *参加無料(ただし7月6日、8月18日は要観覧券)。申込不要、直接会場へ