展覧会 最新

  • 特別展
    創立100周年記念
    信濃橋洋画研究所 ―大阪にひとつ美術の花が咲く―」

    • 開催日:2024年6月22日 ~2024年8月25日

     
    プレスリリース 出品リスト
     
     

    会 期 2024年6月22日(土)―8月25日(日)
    休館日 月曜日(ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)は休館 )
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会 場 芦屋市立美術博物館
    観 覧 料 一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    ※ 歴史資料展示室の観覧料も含む ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者の方は各当日料金の半額
    ※7月15日(月・祝)は「ひょうごプレミアム芸術デー」として観覧無料
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、朝日新聞神戸総局、神戸新聞社、NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE
    助 成 公益財団法人 朝日新聞文化財団、芸術文化振興基金

     
     

    《展覧会概要》
     大正末から昭和初期にかけて、大阪が面積・人口ともに日本一の近代都市となった大大阪時代。その最中1924年、大阪市西区信濃橋交差点に「信濃橋洋画研究所」が誕生しました。前年にそろって二科会員となった気鋭の洋画家・小出楢重、黒田重太郎、鍋井克之、国枝金三が、東京や京都に比べて芸術の実らない地とされていた大阪で、洋画家を志す者の指導を目的に開設したものです。
     本研究所での講習は、デッサンや油絵などの実技と、美術史や解剖学といった講義によって構成され、ここで学生から会社勤めの者まで幅広い層が学びます。彼ら研究生以外にも門戸を開き、全国から希望者が殺到した夏季講習会や、講習成果発表の機会となった研究所展(第4回から「全関西洋画展」)などの先進的な取り組みも次々に実施し、1944年に閉鎖されるまでの約20年間に、多くの才能が輩出されました。自らが体得してきた洋画の技術を次世代に伝えるべく奔走する講師陣と、その教えを吸収しようとする研究生たちの活気ある交流によって、講師陣が目指した「大阪市にも一つの美術の花が咲く」*という文化的な土壌が、確かに醸成されていったのです。
     講師の一人・小出楢重が晩年を過ごし、本研究生も集った芦屋の地で、創立から100周年の節目に開催する本展は、信濃橋に集った画家たちの作品を一堂に展観するとともに、彼らの回想や講習カリキュラムなどから、ここでの指導と学びの実態を再検証するものです。
     本研究所が洋画界に吹きこんだ新風と花開いた成果をご覧いただき、関西の洋画史へ理解を深めていただく機会となりましたら幸いです。
     *鍋井克之が第1回研究所展に寄せた文章より(『週刊朝日』第23号、1924年11月23日、p.9)
     
    《本展の見どころ》
    (1)近代洋画の名品たち ―関西洋画壇を代表する20作家の60作品を一堂に展観。
    信濃橋洋画研究所で初代講師を務めた小出楢重国枝金三黒田重太郎鍋井克之の4者をはじめとする個性豊かな講師陣や、本研究所で学んだ画家たちは、当時、そしてその後の関西洋画壇を背負って立つ存在でした。
    本展では信濃橋洋画研究所を起点に生み出された洋画の名品を、大大阪という活気ある時代背景のもと一堂に展観します。さらに近年新たに発見された小出楢重作品や、公立美術館では初公開となる黒田重太郎作品も展示します。
     
    (2)信濃橋洋画研究所に集った画家たちの言葉から、その活動の実態に迫る。
    本研究所の取り組みは、これを後援していた『朝日新聞』『週刊朝日』にて、記録写真や講師陣が寄せた文章によって随時紹介されていたほか、複数の研究生が回想を残しています。
    本展では、これらの画家たちが残した文章言葉から、本研究所での指導と学びの実態を検証紹介します。
     
    (3)全国の洋画講習会の先駆け!夏季講習会の全容を明らかに
    研究所開設の年から『週刊朝日』の後援で実施された夏季講習会は、研究生以外も参加でき、全国から希望者が殺到するほど人気を博します。実技・学科講習関西名勝地での風景写生実習が十数日間にわたり実施されたこの講習会は、その後全国の美術団体や研究所が開催するようになる先駆けとなりました。
    本展では、講習カリキュラム小出楢重旧蔵の写真資料、週刊朝日に掲載された講師陣の報告やエッセイなどから、この講習会の内容を詳しく紹介します。
     
    (4)洋画を学ぶプロセスとは? ―洋画家としての修業過程
    小出楢重と鍋井克之は東京美術学校で、国枝金三と黒田重太郎は京都の画塾・関西美術院でそれぞれ絵を学びます。
    このような当時の洋画教育機関の状況も踏まえつつ、石膏像人体モデルデッサンから、油絵具による絵画制作へと至る洋画習得の過程を、小出と黒田の初期のデッサンや資料によって紹介します。
     
    (5)信濃橋から芦屋へ ―小出楢重を慕った画家たち
    小出楢重に師事するため来阪、のちに書生となり小出家で暮らした松井正は、本研究所の開設当初からここで学びつつ講師陣の手伝いをするようになります。長谷川三郎山崎隆夫仲田好江らは研究所で学ぶ一方、1926年に芦屋へ転居した小出のアトリエへも通い、直接指導を受けました。
    本展では、これらの画家たちと小出が芦屋の地で結んだ師弟関係について、彼らの作品および資料から紹介します。当館前庭に復元されている小出のアトリエでも関連した小展示を行います。

     
    《出品作家》
    〇初代講師を務めた画家たち:小出楢重、国枝金三、黒田重太郎、鍋井克之  
    〇研究所に学び、のちに講師となった画家たち:古家新、松井正、田村孝之介、山本直治、浜田葆光、伊藤継郎、小出卓二、藤井二郎
    〇学んだ画家たち:飯島一次、井上覺造、木村敏、高岡徳太郎、津高和一、仲田好江、長谷川三郎、山崎隆夫

     
     

    出品予定作品・資料

     
    1 松井正《都会風景》1924年 油彩、カンヴァス 大阪中之島美術館蔵
    2 国枝金三《都会風景1(信濃橋)》1925年 油彩、カンヴァス 大阪市立美術館蔵 *第12回二科展
    3 小出楢重《帽子のある静物》1923年 油彩、カンヴァス 公益財団法人 西宮市大谷記念美術館蔵 *第10回二科展
    4 鍋井克之《鴨飛ぶ湖畔》1932年 油彩、カンヴァス 大阪市立美術館蔵 *第19回二科展
    5 黒田重太郎《不老長春図》1938年 油彩、カンヴァス 星野画廊蔵 *第12回全関西洋画展
    6 長谷川三郎《トロッコ》1924年頃 油彩、カンヴァス 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵 *白象会第2回展
    7 小出楢重《素描(石膏デッサン)》1911年頃 木炭、紙 芦屋市立美術博物館蔵
    8 信濃橋洋画研究所 開所式(1924年4月3日)
      前列左より鍋井克之、小出楢重。中列左より国枝金三、黒田重太郎
    9 裸婦デッサンに取り組む研究生たち(1930年頃)
    10 第5回夏季講習会 滋賀県大津での風景写生実習(1928年8月)
      左より国枝金三、鍋井克之、黒田重太郎
     
     
    《関連イベント》
    (1)講演会「信濃橋の時代」

    日時 6月23日(日)14:00-15:30
    講師 山野英嗣(和歌山県立近代美術館 館長)
    会場 講義室 80名(どなたでも)
    *聴講無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (2)スライドトーク「洋画を学ぶ ―信濃橋に集った画家たちの交流とともに」

    日時 7月27日(土)14:00-15:30
    講師 川原百合恵(本展担当学芸員)
    会場 講義室 80名(どなたでも)
     *聴講無料(ただし要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     
    (3)街歩きイベント「大大阪を歩く・大阪近代建築めぐり」

    日時 6月30日(日)10:00-13:00
    講師 髙岡伸一(近畿大学建築学部 教授)
    場所 大阪市北浜~中之島付近の近代建築が残る地域
    参加費 200円(レクリエーション保険代等)+各施設入場料実費
    対象 小学生以上 20名
    *事前申込制、6月14日(金)締切
    お電話(0797-38-5432)かメール(ashiya-bihaku@shopro.co.jp)にて、【お名前・年齢・ご住所・ご連絡先】をお伝えください。応募多数の場合は抽選となります。
    *詳細は追って当館HPでお知らせします。

     
    (4)学芸員によるギャラリートーク

    日時 7月6日(土)、7月15日(月・祝)、8月18日(日)各回14:00
    *参加無料(ただし7月6日、8月18日は要観覧券)。申込不要、直接会場へ

     

  • ヨドコウ迎賓館竣工100周年記念事業
    「令和5年度芦屋市内遺跡発掘調査速報展」

    • 開催日:2024年4月13日 ~2024年8月25日

    歴史資料展示室 企画展示スペース
    ※開館時間・休館日・観覧料は展覧会に準ずる
     

     
     

    《展示内容》
     ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)は、「櫻正宗」の銘柄で知られる灘五郷の山邑酒造株式会社(現:櫻正宗株式会社)8代目当主の山邑太左衛門の別邸として1924(大正13)年に建てられました。設計は近代建築の巨匠であるフランク・ロイド・ライトが行い、建築家の遠藤新と南信によって完成しました。1947(昭和22)年に株式会社淀川製作所の所有となり、1974(昭和49)年には、大正時代の鉄筋コンクリート造りの建物として初の国指定重要文化財となりました。
     ヨドコウ迎賓館の敷地内東側には本来、温室や使用人の住居、倉庫と、主屋と温室を繋ぐ渡り廊下など、様々な付属建物があったことが1925(大正14)年刊行の雑誌『新建築』からわかっています。それら付属建物は、1963(昭和38)年の県道精道奥山線の拡幅や戦後の住宅建築によって姿を消してしまいました。
     令和5年度に行われた敷地内の発掘調査によって、付属建物や滝、池などの遺構が見つかりました。
     本展では、発掘調査で見つかった出土品や遺構の写真を展示し、創建時の建物の様子を紹介します。
     

    展示品一覧

    番号 資料名 年代
    1 大谷石 大正時代
    2 布袋の痕跡が残る擬石の材料 大正時代
    3 レンガ 大正時代
    4 竣工当時の色がわかる壁片 大正時代
    5 ガラス片 昭和時代中頃
    6 タイル片 昭和時代中頃
    7 ガラス容器 昭和時代中頃
    8 陶器蓋 昭和時代中頃
    9 瓦片 昭和時代中頃
    10 解体計画中止運動ポスター 昭和46(1971)年
    11 解体計画中止運動チラシ 昭和46(1971)年