展覧会これまで

  • 第41回芦屋市造形教育展

    • 開催日:2024年2月10日 ~2024年2月18日

    【開催概要】
    芦屋市内の就学前施設、小学校、中学校の子どもたちの作品を、全館にわたり展示します。
     
    【会期】
    2024年2月10日(土)-2024年2月18日(日)
    午前10時-午後5時(入館は午後4時30分まで) 
     
    【休館日】
    2月13日(火)
     
    【会場】 
    芦屋市立美術博物館
     
    【観覧料】
    無料
     
    【主催】 
    芦屋市教育委員会、芦屋市造形教育研究会
     
    【お問い合わせ】
    芦屋市教育委員会教育部学校教育室学校支援課(℡:0797-38-2143 / 平日執務時間内)
     
    ※歴史資料展示室では、常設展および企画展「ちょっとむかしのくらし展
    ―昭和の生活用品たち―」を開催中
     


     
    第39回芦屋市造形教育展の様子(2021年度)
  • art resonance vol.01時代の解凍
    Defrosting Time: Art Across Generations

    • 開催日:2023年10月28日 ~2024年2月4日

     
    プレスリリースちらし出品リスト会場マップ
     
     

    会 期 2023年10月28日(土)―2024年2月4日(日)
    休館日 月曜日(ただし、1月8日は開館、1月9日は休館)、年末年始(12月28日―1月4日)
    観 覧 料 一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    *無料観覧日:2023年11月11日(土)、12日(日)[関西文化の日]
    *( )内は20名以上の団体料金
    *高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方ならびにその介護の方は各当日料金の半額
    *リピート割引:本展チケットの半券をご提示いただいた方は、団体割引料金でご覧いただけます。
    (1枚につきお一人様1回限り、他の割引券との併用不可)
    会 場 芦屋市立美術博物館
    主 催 芦屋市立美術博物館
    後 援 兵庫県、兵庫県教育委員会、NHK神戸放送局、公益財団法人 兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、Kiss FM KOBE
    助 成
    協 力 太陽工業株式会社、株式会社淀川製鋼所、株式会社桝弥、株式会社八田、一般社団法人 山田正亮の会、ShugoArts

     
     
    《展覧会の概要》
     本展では、関西を拠点に国内外で活動する、藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4名が、当館のコレクションから注目する作家を選び、その作家像と併せて作品を様々な方法で読み解いていきます。彼/彼女らが創作者としての視点をもって、山崎つる子たち7名の思考や手業に近づきながら多様な方法でアプローチすることで、新たな作品解釈と共に、これまで表には出ていなかった個人史をも浮かび上がらせます。
     藤本は、山崎つる子の《作品》(1964)を手掛かりに様々な角度から検証し、具体美術協会という枠を超えて山崎の世界の新しい発見を試みます。野原は、生涯にわたって約5,000点もの絵画を遺した山田正亮に注目しました。山田が残した作品や50冊以上に及ぶ制作ノートから、本質的な絵画への問いと「描く」という山田の思考を、画家の視点と制作という行為を通して導き、抽象絵画の新しい鑑賞方法を提示します。高橋は、人や作品、時代とのつながりを「対話」という形で拡張していった津高和一の活動から、現代における「対話」について考察し、津高が抽象絵画を描くに至る経緯や精神性などを検証していきます。黒田は、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの3名の彫刻家とあわせて、田中敦子に注目し、アーティスト本人や周囲の人々の言葉を通して、各作家像に迫ります。
     本展は、現代の作家が新たな視点をもって当館コレクション作品を調査・研究し、その研究成果としての展示空間=「思考を深める場」を立ち上げる方法によって、新たな展望を提示します。

    出展作家

    藤本由紀夫、山崎つる子、髙橋耕平、津高和一、野原万里絵、山田正亮、黒田大スケ、田中敦子、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデル

     
     
    関連イベント
    (1)オープニングイベント
    アーティストによるギャラリートーク
    日時:2023年10月28日(土) 14:00-16:00(予定)
    講師:藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケ
    会場:展示室
    ※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
     
    (2)トーク1                 
    日時:2023年11月18日(土)
    講師:黒田大スケ(美術家・出展作家)
     
    トーク2
    日時:2023年12月9日(土)
    講師:髙橋耕平(美術家・出展作家)
     
    トーク3
    日時:2023年12月23日(土)
    講師:藤本由紀夫(アーティスト・出展作家)
     
    いずれも
    時間:各回14:00-16:00
    会場:講義室、展示室
    対象:どなたでも 60名
    ※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
     
    (3)ワークショップ
    「記憶の色図鑑づくり」
    日時:2023年11月25日(土)10:30-14:30(予定)
    講師:野原万里絵(画家・出展作家)
    会場:体験学習室 対象:小学生以上 15名
    材料費:200円(高校生以上は要観覧券)
    ※要事前申込。11月15日締切。応募者多数の場合は抽選。
     
    (4)アーティストと学芸員によるギャラリーツアー
    2024年1月13日(土) 藤本由紀夫と髙橋耕平
    1月20日(土) 野原万里絵と黒田大スケ
    各回14:00-15:30(予定) ※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
     
    (5)学芸員によるギャラリートーク
    2023年11月11日(土)、12日(日)、2024年1月8日(月・祝)
    各回13:00~ 約1時間
    ※参加無料、申込不要(ただし要観覧券) *11月11日、12日は無料観覧日(関西文化の日)
     
    お問い合わせ:芦屋市立美術博物館
    〒659-0052 兵庫県芦屋市伊勢町12-25 ℡ 0797-38-5432
    ホームページ:ashiya-museum.jp  X(旧twitter):@ashiyabihaku
     
     
    作家が作家を考察する。現代に生きる作家の作品、すべて新作。
     本展に参加する藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4名は、関西を拠点に国内外で活躍する美術家や画家です。彼/彼女らは、当館コレクションから山崎つる子、津高和一、山田正亮、田中敦子、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの作品やその人物像に注目しました。
     デイヴィット・ホックニーが『秘密の知識―巨匠も用いた知られざる技術の解明(原題:Secret Knowledge Rediscovering the lost techniques of the Old Masters』(2006)で示したとおり、ホックニーや関係者たちの調査研究による鏡とレンズを使った技法から導き出した仮説が科学的根拠をもって当該書によって立証され、伝統的絵画の新しい理解と鑑賞方法を獲得することが出来ました。このように、本展で藤本たち4人が、先行研究を参照しながら、実作品や資料、書籍、インタビュー映像などから導き出していく仮説や論考は、当館コレクションの新たな表現や意義、これまで見えていなかった新たな作家像を現わしてくれると確信します。4名が立ち上げた新しい解釈は、絵画や映像、インスタレーション作品として表されるとともに、様々な観点や価値観を提示する唯一無二の展示空間を生み出します。
     
     
    作家によるコレクションへのアプローチ
    藤本由紀夫は、⼭崎つる⼦の1964年の作品《作品》一点から何が読み取れるかに挑戦します。藤本自身の制作のプロセスと照らし合わせることにより、山崎の仕事の姿勢、思索の跡を追うことが出来ると考えます。具体美術協会という枠を超えて⼭崎つる⼦の世界の新しい発⾒を試みます。
     
    髙橋耕平は、津高和一の詩から始まった書や、絵画制作が抽象絵画へと進むとともに個人の活動を拡張した「運動」とも言える「対話のための作品展」や、社会と芸術を繋ぐ試みとして行った「架空通信テント美術館」など、私と公のつながりを「対話」という形で拡張していった津高の活動に注目しました。本展では仮説として、津高の抽象絵画に向かう姿勢と成り立ちに、後の「対話」的活動の萌芽を見出し、髙橋の制作プロセスを重ね、津高が試みた作品と作品が置かれる場を通した「対話」のあり方の継承を試みます。
     
    野原万里絵は、山田正亮に注目しました。生涯にわたって約5,000点もの絵画作品を遺した山田は、几帳面な性格をもち、近しい人にも描く姿を見せなかったといいます。作品と共に残された50冊以上に及ぶ山田の制作ノートには、作品のスケッチや課題に対するメモ、その時に感じたであろう山田の言葉が綴られており、山田の絵画に向かう思考に触れることはできるものの、「絵画を描く」というシンプルな感覚を想像するには、もう一歩踏み込んだアプローチが必要です。今回、野原は、山田が「何故描いたのか」「どのように描いていったのだろうか」という本質的な絵画への問いを画家の視点で調査を行い、制作という行為を通して一つの答えを導きます。
     
    黒田大スケは、田中敦子と3名の彫刻家、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの作品に注目しました。田中は具体美術協会を代表するアーティストの一人として議論や考察が絶えない一方で、アーティスト本人による言葉は多くありません。今回黒田は田中の作品制作をサポートした影の立役者(電気屋)の視点から作品制作を通して田中像に迫ります。あわせて、絵画や平面作品を多く収蔵する当館では展示される機会の少ない彫刻のコレクションに光を当て、堀内正和、柳原義達、ブールデルを演じ、彼らの視点から作品を制作します。全体を通して、田中と彫刻家達についてのばらばらの詩を重ねることで、見えない存在に姿を与えるように透明な何者かの為の物語を紡ぐことを試みます。
     
    彼/彼女ら4名は、コレクションを調査・研究し、その研究成果としての展示空間=「思考を深める場」を立ち上げます。展示と併せ、アーティストによる考察を図録に収録し、言葉による接近も試みます。
     

     

    1. 藤本由紀夫《y-memo》2023年
    カラーシート、ブリキ、トタン 作家蔵
    2. 髙橋耕平《未定》2023年
    インスタレーション(一部) 作家蔵 
    3. 野原万里絵《色彩への扉》2023年
    パステル、色鉛筆、紙 作家蔵
    4. 黒田大スケ《4匹》2023年
    ドローイング 作家蔵
    5. 山崎つる子《作品》1964年 ビニール塗料、綿布、板
    芦屋市立美術博物館蔵
    ©Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS GALLERY, Osaka
    6. 津高和一《声》1956年
    油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    7. 山田正亮《WORK F.1》1990年
    油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    8. 田中敦子《カレンダー》1954年
    インク、紙、鉛筆、コラージュ 芦屋市立美術博物館蔵
    ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association
    9. 堀内正和《作品−B−》
    1954年 鉄 芦屋市立美術博物館蔵
    10. 柳原義達《黒人の女》
    1956年 ブロンズ 芦屋市立美術博物館蔵
    11. エミール=アントワーヌ・ブールデル
    《デモステネスA》1927年 テラコッタ
    芦屋市立美術博物館蔵

     
     
    作家略歴等
     

    • 藤本由紀夫 Fujimoto Yukio 1950-
      名古屋市生まれ、大阪市在住。大阪芸術大学音楽学科卒。70年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンス、インスタレーションを行う。80年代半ばよりサウンド・オブジェの制作を行う。音を形で表現した作品を個展やグループ展にて発表。その作品をつかったパフォーマンスを行うなど、空間を利用した独自のテクノロジーアートの世界を展開している。近年は「読書」という行為をとおして美術館の在り方を問う活動も行っている。今回の展⽰では、⼭崎つる⼦の《作品》(1964)を⼿掛かりに様々な⾓度から検証し、具体美術協会という枠を超えて⼭崎つる⼦の世界の新しい発見を試みる。
    • 髙橋耕平 Takahashi Kohei 1977-
      京都生まれ、在住。2002年京都精華大学大学院修士課程 芸術研究科造形専攻修了。2005年頃より映像作品の制作を始める。現在はドキュメンタリー形式の映像に自らの声や身体を介入させた作品、パフォーマンスの記録やアーカイブ資料を使用した作品を発表。本展では、津高和一の詩から始まった書や絵画制作が抽象絵画へと進むとともに、個人の活動を拡張した「運動」とも言える「対話のための作品展」(1962―1981. 西宮・自庭)や社会と芸術を繋ぐ試みとして行った「架空通信テント美術館」(1980-1985.西宮・夙川)など、人や作品、時代とのつながりを「対話」という形で拡張していった津高の活動から、現代における「対話」について調査・研究を行うとともに、津高が抽象絵画を描くに至る経緯や精神性等を検証していく。
    • 野原万里絵 Nohara Marie 1987-
      大阪市生まれ、在住。2011年京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業、2012年 Royal College of Art (Visual Communication) 交換留学、2013年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。近年の野原は、ワークショップを日本各地で開催し、協働制作による作品を発表。他者とのコミュニケーションを通して、絵画の新たな可能性を模索している。本展では、山田正亮の残した言葉やスケッチなどを手立てに、山田の身振りから生まれた作品を紐解くことを試みながら、野原自身の制作の姿勢、方法を振り返り、山田が生涯を賭して求めてきた画家としての精神性、山田が向かっていった絵画の世界の深淵を探る。
    • 黒田大スケ Kuroda Daisuke 1982-
      京都生まれ。2013 年広島市立大学大学院総合造形芸術専攻(彫刻)修了。アーティスト・コレクティブ「チームやめよう」主宰。現在、関西を拠点に活動。近年は彫刻に関するリサーチを基に、特定の彫刻家を憑依させるように演じるパフォーマンス的要素の強い映像を制作することで、忘れ去られた/埋没してしまっている近代以降の彫刻家の個人史やその制作行為を浮かび上がらせ光を当てることを試みている。本展では、数人の彫刻家とあわせて、⽥中敦⼦の《作品(ベル)》や《カレンダー》をとりあげる。田中は具体美術協会を代表するアーティストの一人として議論や考察が絶えない一方で、アーティスト本人による言葉は多くない。この点に注目し、作品制作を通して田中像に迫る。
    • 山崎つる子 Yamazaki Tsuruko 1925-2019
      芦屋市生まれ。1948年小林聖心女子学院英専卒業。1954年具体美術協会(具体)の結成に参加、72年の具体解散時まで在籍した。1950年頃より子供を対象とした美術教室に一貫して携わる。1975年AUの結成に参加。1980年代以降、個展を中心に活動。当館では2004年に個展「リフレクション 山崎つる子」を開催。ストライプを基調としたカラフルな抽象画や、ブリキや透明な支持体を使用した作品など、色彩の反映といった視覚性に訴えかける作品を多く残した。当館では絵画・平面5点を収蔵。
    • 津高和一 Tsutaka Waichi 1911-1995
      大阪市生まれ。青年期より詩作の道に入るとともに、大阪の中之島洋画研究所にて学ぶ。戦後は行動美術協会を中心に活動、1952年に同会会員となり、この頃から抽象絵画を制作する。同年に結成された現代美術懇談会(ゲンビ)に参加。その後、国際展への出品を重ね、日本の現代美術を代表する作家となる。1962年から81年まで自庭で「対話のための作品展」を開催したほか、1980年から85年まで夙川沿いでアンデパンダン形式の「架空通信テント美術館」を開催するなど、作品を仲介とした種々のコミュニケーションを試みた。1995年の阪神・淡路大震災で自宅が倒壊、急逝。当館では絵画33点を収蔵。
    • 山田正亮 Yamada Masaaki 1929-2010
      東京生まれ。東京府立工業高等専門学校を卒業。1949年2月第1回日本アンデパンダン展に出品。1950年から56年まで自由美術家協会展へ出品。初期は静物画を制作、50年代から方形やストライプの組み合わせによる抽象絵画を手掛けた。その歩みは、解体され還元された色彩や形態によって、いかに絵画を成立させるかという探究であり、欧米の近代主義絵画が直面した問題を独自に追及することとなる。ミニマルかつシステマティックに構成された絵画は、「塗る」作業を常に意識させる画面が特徴。やがて、1980年頃より規則的に分割された画面を荒いストロークで塗りつぶす、より表現主義的な作風へと展開した。当館では絵画3点を収蔵。
    • 田中敦子 Tanaka Atsuko 1932-2005
      大阪生まれ。京都市立絵画専門学校中退の後、大阪市立美術研究所にて学ぶ。この頃、抽象絵画を描き始める。1954年頃、「0会」に参加する。当時はカレンダーの作品や、数字のみで構成する作品を制作した。1955年に具体美術協会(具体)の会員となった後は、コードで繋がった20個のベルを展示会場に設置し順に鳴り響くようにした作品や、巨大な人型の布に電球を取り付け、規則的に光を点滅させた《舞台服》、多彩な電球を組み合わせて明滅させた《電気服》など先鋭的な作品を発表した。1957年頃から電球とコードの絡まりから着想を得た絵画を描き始める。1965年「具体」退会。その後、国内外で個展を開催するほか、様々な国際展にも出品し、精力的に活動を続けた。当館では絵画15点、立体1点を収蔵。
    • 堀内正和 Horiuchi Masakazu 1911-2001
      京都生まれ。1926年上京、翌年村山知義らの著作に影響を受け、構成主義風の彫刻を試みる。1928年東京高等工芸学校彫刻部に入学、翌年第16回二科展に初入選し動向を中退、番衆技塾に入り藤川勇造に具象彫刻を学ぶ。戦時色の濃くなった1939年より制作発表を中止、アテネ・フランセに通う。1947年第32回二科展において彫刻部会員に推挙される。1950年京都市立美術専門学校教授に就任。第1、4回ゲンビ展(1953年、56年)に出品するかたわら、第3、4回展(1955、56)では運営委員、審査員もつとめた。1966年二科会を退会。この間、1954年鉄溶接による構成的な作品を手掛け、鉄棒から鉄板、さらに曲面へと移行した。1963年第6回高村光太郎賞、1969年第1回現代国際彫刻展など受賞歴多数。当館では彫刻1点を収蔵。
    • 柳原義達 Yanagihara Yoshitatsu 1910-2004
      神戸生まれ。兵庫県立神戸第三中学校(現長田高等学校)在学中に神戸第一中学校(現神戸高校)の教師で日本画家村上華岳の弟子であった藤村良一(良知)に絵を学ぶ。1928年卒業後、京都に出て福田平八郎に師事するうち、『世界美術全集 33巻』(平凡社、1929年)に掲載されていたブールデル「アルヴェル将軍大騎馬像」の図版に感銘を受け、彫刻家を志す。1931年東京美術学校彫刻家入学。在学中の1933年、第8回国画会展に「女の首」で入選し国画奨学賞を受賞。1937年の12回展で同人となるが、39年に国画会を退会し新制作派協会に参加、彫刻部を創設した。1953年渡仏、グランド・ショーミエールでブールデルの弟子、エマニュエル・オリコストに師事する。1957年帰国、翌年第1回高村光太郎賞を受賞。1963年新制作協会を退会。写実的な表現が大勢を占めていた日本の彫刻界にあって、戦後いちはやく量塊を主体とする斬新な制作を展開した。当館では彫刻1点とドローイング3点を収蔵。
    • エミール=アントワーヌ・ブールデル Bourdelle, Emile-Antoine 1861-1929
      フランス、モントーバン生まれ。家具職人の家に生まれ、トゥールーズの美術学校を経て、1884年パリのエコール・デ・ボザールに進み、ファルギエールに師事するが、学校に失望して退学する。ダルーのアトリエを経てロダンの助手となり、15年間働いた。当初ロマン主義的傾向の情熱的な作品を作ったが、1900年の《アポローンの頭部》によってロダンの影響を離れ、“偉大さ”を目指し近代彫刻に新しい息吹を与えた。代表作としては《ベートーヴェン》の連作、《弓をひくヘーラクレース》、《アルヴェル将軍の記念碑》などが知られる。1929年パリ郊外のル・ヴェジネで逝去。当館では彫刻13点1組を収蔵。
  • 最後の浮世絵師 月岡芳年

    • エントランスホール、第1展示室、第2展示室
    • 開催日:2023年7月22日 ~2023年10月9日

     
    プレスリリース  展示リスト
     

    会  期 2023年7月22日(土) ― 10月9日(月・祝)
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会  場 芦屋市立美術博物館 エントランスホール、第1展示室、第2展示室
    休 館 日 月曜日(祝日の場合は翌平日)
    観 覧 料 一般1,000(800)円、大高生700(560)円、中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方ならびにその介護の方は各当日料金の半額になります。 
    主  催 芦屋市立美術博物館
    後  援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、サンテレビジョン、ラジオ関西、NHK神戸放送局
    協  力 青幻舎プロモーション

     
     
    《展覧会紹介》 
     江戸の新橋で生まれた月岡芳年(1839-1892)は、12歳のときに歌川国芳(1797-1861)に学び、15歳で画壇デビューしました。22歳頃から本格的に浮世絵師として活動をはじめ、54歳で没するまでに数多くの作品を世に出しました。
     芳年は西洋画の写実性を取り込みながら、柔軟な発想とたくましい絵心で、浮世絵の歴史の最後に強烈な閃光を放ちました。師匠譲りの武者絵や歴史画を中心に活動を始めましたが、明治維新という激動の歴史の世相を映す作品も数多く残しています。
     本展では、妖怪などの怪奇をテーマとした『新形三十六怪撰』や、芳年の代表作である『月百姿』などを数多く展示し、芳年の魅力あふれる作品の数々を紹介します。

      
     
     
    《見どころ》
     
    「血みどろ絵」だけではない芳年の魅力
     
     月岡芳年は「血みどろ絵」や「無残絵」などの過激な絵を好んで描いていたと考えられていました。しかし、近年の研究の結果、それは画業の最初期の画風であることがわかってきました。
     本展覧会では、芳年が全盛期から晩年にかけて描いた作品を150点展示します。それらの作品には過激な描写のものは少なく、静謐な描写のものが多いです。その静謐さの中に劇的な場面を展開させるといった描き方の作品もあります。
     本展覧会を通して、芳年が過激な内容や描写のみが目立つだけの「最後の浮世絵師」ではないことを紹介します。
     
    主な展示品

    1.「芳年武者无類 主計頭加藤清正」明治16(1883)年
    2.「新形三十六怪撰 源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」明治25(1892)年
    3.「偐紫田舎源氏」明治17(1884)年
    4.「風俗三十二相 いたさう 寛政年間女郎の風俗」明治21(1888)年
    5.「郵便報知新聞 第五百六十五号」明治8(1875)年
    6.「月百姿 五条橋の月」明治21(1888)年
    7.「月百姿 玉兎 孫悟空」明治22(1889)年

     

     
    《関連イベント》
    (1)講演会「芳年の「怪」と「快」」
    日 時:7月30日(日)14:00-15:30
    会 場:美術博物館 講義室
    講 師:神谷 浩氏(徳川美術館副館長)
    参加費:無料(要観覧券)
    定 員:60名
     
     
    (2)講演会「芳年とメディア」
    日 時:8月27日(日)14:00-15:30
    会 場:美術博物館 講義室
    講 師:菅原 真弓氏(大阪公立大学教授)
    参加費:無料(要観覧券)
    定 員:60名
     
     
    (3)ワークショップ「尺八を吹いてみよう」
    日 時:9月10日(日)①10:30-12:00 ②14:00-15:30
    会 場:美術博物館 講義室
    講 師:加納 煌山氏(新都山流竹琳軒・大師範)
    参加費:無料(要観覧券)
    定 員:各20名(先着順)
    申し込み方法
    9月9日(土)までに、お電話かFAX、メールのいずれかで以下の内容をお知らせください。
    ●氏名、電話番号、午前・午後のどちらに参加希望か
    電 話:0797-38-5432
    FAX:0797-38-5434
    メール:ashiya-bihaku@shopro.co.jp
     
     
    (4)ホールコンサート「月の絵、月の音」
    日 時:10月1日(日)14:00-15:00
    会 場:美術博物館 エントランスホール
    奏 者:木田 陽子氏(ピアニスト)
    参加費:無料(要観覧券)
    定 員:100名
    曲 目:ドビュッシー『月の光』『そして月は荒れた寺に落ちる』
    山田耕筰『月光に棹さして』
    ベートーベン『ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「月光」』
    ラヴェル『洋上の小舟』、 その他
     
     
    (5)当館学芸員による展示解説
    日 時:7月22日(土)、8月20日(日)、9月18日(月・祝)  各日11:00- (7月22日のみ10:30-) 、14:00-
    会 場:芦屋市立美術博物館 展示室
    参加費:無料(要観覧券)
    定 員:なし
     
     
    (3)以外、事前申込不要 

  • リニューアルオープン記念
    特別展「芦屋の美術、もうひとつの起点 ―伊藤継郎」

    • 開催日:2023年4月15日 ~2023年7月2日

     
    プレスリリース 出品リスト
     

    会  期 2023年4月15日(土)~7月2日(日)
    休 館 日 月曜日
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会  場 芦屋市立美術博物館
    観 覧 料 一般800(640)円、大高生600(480)円、中学生以下無料
    ※ 歴史資料展示室の観覧料も含む ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者の方は各当日料金の半額
    ※ 5月5日(金・祝)、20日(土)、21日(日)は無料観覧日
    主  催 芦屋市立美術博物館
    後  援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE
    助  成 公益財団法人 朝日新聞文化財団
    芸術文化振興基金

     
     
    《展覧会概要》 
     芦屋の地で描き続けた画家、伊藤継郎(いとうつぐろう 1907-1994年)をご存知でしょうか。
     伊藤は大阪の画塾で学び、1928年に芦屋へ転居、この地にアトリエを構えます。複数の美術団体展に出品して研鑽を積んだのち、1941年に新制作派協会(現・新制作協会)へ入会、発表の拠点と定めました。温厚な人柄の伊藤を慕って、芦屋のアトリエには画家仲間や文化人が集ったほか、絵画教室も開かれ多くの人々が学びます。1948年には芦屋市美術協会の創立に参加。その中心人物として、芦屋市展や童美展(児童対象の公募展)の審査を務めました。このように、昭和から平成にかけて芦屋の美術の中心には、伊藤の存在があったのです。
     伊藤の絵画は、日常の一場面や人物、動物、旅先の風景や異国の人々など、自らが心惹かれたモチーフを見つめ、愛情豊かに描くものでした。友人の小磯良平は、伊藤のモチーフのとらえ方を「眼の前にあるものが彼の頭の中を通過することによって、忽然として彼の造形に変化して出て来る」(『なにわ会シリーズ小冊子「伊藤継郎」』梅田画廊、1966年)と評します。その絵肌は、絵具をあつかう独自の方法によって、実に質感豊かです。「ものを見て、絵具で描く」―伊藤はこれ以上なくシンプルな絵画のあり方を探求しましたが、生み出したのは、彼にしか描けない絵でありました。
     当館は1991年の開館の年、伊藤継郎の回顧展を開催しました。このたび32年ぶりに、没後としては初の大規模な伊藤継郎展を開催します。約60点の伊藤作品とともに、伊藤が画家として歩む中で交流した20名の多彩な画家たちの作品を展観し、当時の洋画界の様相をご覧いただきます。そして、唯一無二な伊藤絵画の内実に「モチーフ」「技法」という観点から迫り、伊藤の画業の再検証を試みます。
     何を、どう、描くのかー。伊藤の絵画を通して、絵を描くとはどういうことかと、考える機会となりましたら幸いです。
      
     
     
    《本展の見どころ》
    (1)芦屋の地に生きた、ひとりの画家。伊藤継郎の実像に迫る。
    伊藤の作品約60点とともに、彼が残したエッセイや絵画論、多数の写真資料を展示します。
    画家として生きるとは、どういうことかー。伊藤絵画の独自性に迫りながら、多くの人々に慕われた画家の素顔に触れていただきます。
    伊藤遺族や芦屋市の施設が所蔵する、公立美術館としては初公開となる作品達も複数展示。
     
    (2)伊藤が画家として歩む中で交流した、多彩な20名の画家の作品を展示。
    大阪に生まれ、青年期に芦屋に根を下ろした伊藤。その画業は、関西の洋画界の歩みと重なります。本展では伊藤が交流した多彩な画家たちを、その作品や資料から紹介します。関西の洋画史におけるスターたちの作品が、伊藤を起点に、一堂に会する機会。それぞれの画家の新たな一面を、垣間見ることができるでしょう。
     
    (3)様々なイベント、ワークショップを実施します。
    伊藤は、子どもから大人まで多くの「描く人」をあたたかなまなざしで見守りました。
    本展のイベントとして、伊藤が残した技法書やエッセイ、アトリエでの様子を紐解きながら、絵を描くことの楽しさや難しさを味わうワークショップを開催します。
    また、神戸市立小磯記念美術館に長く勤務され、新制作派協会や小磯良平をはじめとする会員たちについて研究されている廣田生馬氏をお招きし、新制作についてお話を伺います。

     
     
    《出品作家》  
    伊藤継郎
    松原三五郎、赤松麟作、黒田重太郎、小出楢重、鍋井克之、古家新、田川寛一、猪熊弦一郎、小磯良平、田村孝之介、小松益喜、山本直治、吉原治良、井上覺造、藤井二郎、松井正、吉田一夫、西村元三朗、白髪一雄、村上三郎
     
     
    《出品予定作品・資料》

     
    1 伊藤継郎《ピエロ》1932年頃 油彩、布 当館蔵
    2 伊藤継郎《鳩を配した裸婦》1937年 油彩、布 当館蔵
    3 伊藤継郎《無題》1953年頃 油彩、布 芦屋市立山手小学校蔵
    4 伊藤継郎《帽子をかぶった男》1970年頃 水彩、パステル、方解末、紙 当館蔵
    5 伊藤継郎《二人の司教》1968年 油彩、布 当館蔵
    6 伊藤継郎《阿蘇の赤牛》1961年 油彩、布 当館蔵
    7 小出楢重《横たわる裸女A》 1928年 油彩、布 当館蔵 
    8 吉原治良《小さな噴水》1948年 油彩、布 当館蔵 
    9 白髪一雄《文》1954年 油彩、布 当館蔵
    10 小磯良平、小松益喜らと岡山旅行 1940年頃
     
     
    《作家紹介》

    伊藤継郎(いとうつぐろう 1907-1994)
    大阪に生まれた伊藤は16才のとき、松原三五郎の天彩画塾に通い、絵を学び始めます。翌年、赤松麟作主宰の赤松洋画塾(後に赤松洋画研究所と改称)に移り、1928年に芦屋に転居。1930年23歳のとき二科展で初入選を果たし、1937年に会友に推挙されました。しかし1941年には二科会を退会し、小磯良平や猪熊弦一郎らの誘いで新制作派協会(現・新制作協会)会員となります。以後、この会を拠点に活躍を続けます。1944年に満州に出征し、終戦後約1年のシベリア抑留を経て1946年夏に復員。1947年頃からは、幸運にも戦火を逃れた芦屋の伊藤のアトリエに小磯や田村孝之介、小松益喜らの画家仲間が集い、研究会やデッサン会が行われたほか、新制作派協会の研究所も置かれ、白髪一雄や村上三郎らも通いました。また、絵画教室も開かれ子どもから大人まで多くの人々が学びました。1948年には吉原治良ら芦屋市在住の芸術家たちと芦屋市美術協会を結成し、芦屋市展や童美展の審査員を務めます。1961年より浪速芸術大学(現・大阪芸術大学)、1965年より京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)等で教授を歴任し後進の指導にあたりました。1969年芦屋市民文化賞、1990年には兵庫県文化賞を受賞しています。
    当館では1991年に回顧展「画業60余年の歩み 伊藤継郎」を開催したほか、作品64点および多数の関係資料を収蔵しています。

    制作中の伊藤継郎、年代不詳

     
     
    《関連イベント》
    (1)講演会
    「新制作派協会の戦前・戦中・戦後 ―創立期会員、神戸・阪神間の会員の歩みとともに―」
    講 師:廣田生馬氏(神戸市立小磯記念美術館 学芸担当係長)
    日 時:6月11日(日)14:00-15:30 
    会 場:芦屋市立美術博物館 講義室
    定 員:60名(予定) ※申込不要、直接会場へ
     
    (2)ワークショップ「継郎先生の絵画教室―静物画を描こう!」
    講 師:吉村有子氏(アーティスト)
    日 時:6月25日(日) 11:00-16:00(予定)
    会 場:芦屋市立美術博物館 体験学習室
    対 象:小学生以上、10名(予定) 
    ※事前申込制。6月10日(土)締切  応募者多数の場合は抽選。
    参加費:500円
    持ち物:使いたい絵具や画材(カンバスはこちらで用意します)。
        汚れてもよい服装。昼食。

     
    (3)学芸員によるワークショップ「伊藤継郎の作品を模写しよう!」
    講 師:川原百合恵(本展担当学芸員)
    日 時:5月27日(土)11:00-16:00(予定)
    会 場:芦屋市立美術博物館 体験学習室
    対 象:中学生以上、15名(予定) 
    ※事前申込制。5月12日(金)締切  応募者多数の場合は抽選。
    参加費:500円
    持ち物:絵具(模写するのは油彩の作品です。カンバスはこちらで用意します)。
        汚れてもよい服装。昼食。
     
    (4)鑑賞&スケッチ会「伊藤継郎が愛したモチーフ・動物を描こう!」
    講 師:川原百合恵(本展担当学芸員)
    日 時:〔第1部〕作品鑑賞会 @芦屋市立美術博物館 5月13日(土)14:00-15:00
    〔第2部〕スケッチ会 @神戸市立王子動物園 5月14日(日)9:30-12:30
    ※小雨決行。荒天中止。
    対 象:小学生以上、15名(予定) ※小学生の参加には保護者の同伴が必要。
    ※両日とも参加いただける方のみ応募可 
    ※事前申込制。4月29日(土)締切  応募者多数の場合抽選。
    参加費:100円(保険代)。
        別途、神戸市立王子動物園の入園料をご用意ください(大人600円、中学生以下無料)。
    〔第1部〕作品鑑賞会の際には要観覧券。

     
    (5)学芸員によるギャラリートーク
    講 師:川原百合恵(本展担当学芸員)
    日 時: 4月22日(土)、5月7日(日)、6月17日(土)、14:00-15:00
    会 場:芦屋市立美術博物館 展示室
    対 象:どなたでも ※申込不要、直接会場へ
     
    (6)対話型鑑賞会「おはなししながら継郎さんの絵を見よう!」
    講 師:川原百合恵(本展担当学芸員)
    日 時:5月5日(金・祝)14:00-15:00
    会 場:芦屋市立美術博物館 展示室
    対 象:中学生以下 ※申込不要、直接会場へ
     
    【申込について】
    *(1)(5)(6)は申込不要。参加費無料(ただし要観覧券)
    *(2)~(4)は事前申込が必要。材料費等が必要です。
    申込は4月1日(土)より受け付けます。
    お電話(0797-38-5432)かメール(ashiya-bihaku@shopro.co.jp)にて、イベント名、お名前(お子さま の場合は学年)、ご住所、ご連絡先をお伝えください。応募多数の場合は抽選。
    ※新型コロナウィルス感染症の状況により、イベント内容の変更または中止となる場合がございます。
    詳細は事前に当館ホームページ「新型コロナウィルス感染症対策(芦屋市立美術博物館利用ガイドライン)」をご確認ください。

  • コレクション小企画「美術の手ざわり―記憶にふれる」

    • 開催日:2022年4月16日 ~2022年6月19日

     
    出品リスト
     

    会  期 2022年4月16日(土)-6月19日(日)、月曜日休館
    開館時間 午前10時-午後5時(入館は午後4時30分まで)
    会  場 芦屋市立美術博物館 1階歴史資料展示室
    観 覧 料 無料
    ※同時開催「北原照久コレクション展―おもちゃ!広告!驚きと感動と心温まる物語―」の観覧料に含む
    主  催 芦屋市立美術博物館

     
     
    《内容》 
    美術作品を見ているとき、視覚をこえた触覚的なものを感じたり、肌感覚が刺激されたりすることがあります。ざらざら、なめらかなどの素材ごとの質感や、技法ごとに異なる作品表面のニュアンスを読み取ったり、風景画に描かれた場所の光や温湿度の感じ、色彩による印象を感じ取ったりすることです。このような、作品から感受される感覚や印象といった作品の「手ざわり」は、私たちに作者の表現の意図や、制作の工程を伝えてくれます。
     
    そして作品は、作者の手を離れてから、様々な人と場所を渡って、美術館にやってきます。今日、私たちの前にある作品たちの「手ざわり」は、制作の段階でそなえた「手ざわり」の上に、時間経過による風合いの変化を重ねたものです。この「手ざわり」には、作品が作者のもとを発ってかを重ねたものです。この「手ざわり」には、作品が作者のもとを発ってからの道のりにおいて、作品を中心につながりを持った人々の「記憶」も、蓄積されています。
    本展では、作品たちの「手ざわり」から、それぞれの「記憶」にふれることを試みます。
     
    あるコレクターが独自の信念や審美眼によって「もの」を集め楽しむように、美術館もある方針に基づいて作品を収集、保存し、調査・研究のうえ展示します。美術館もコレクターの一種とみることができます。
    1991年の開館から30年余り。たくさんのご縁によって、当館には1,500点を超える作品が集まりました。本展を通して、作品たちの背後に流れる時間、芦屋という土地、そして作家たちの息づかいを、感じていただけましたら幸いです。 ※展示作品数 56点
     
    《展示作品》

    1 上山二郎《ラディッシュ(赤蕪)》1923年、油彩・布
    2 伊藤継郎《鵜》1965年、油彩・布
    3 福井市郎《深江の浜》1921年、ドライポイント・紙       
    4 松谷武判《Object- 7》1973年、フォトシルクスクリーン・紙
     
    《関連イベント》  
    (1)ワークショップ「思い出の手ざわり―絵はがきを描こう」
    思い出の品や大切にしているものをモチーフに、思い出や気持ちを相手に伝える絵はがきを作成します。描きたいものがあれば持ってきてくださいね!
    〇日 時  5月21日(土)14時-16時
    〇対 象  小学生以上、約20名 *要事前申込、5月11日(水)締切
    〇参加費  無料
     
    (2)ワークショップ「絵具の手ざわり―伊藤継郎の描きかたを体験しよう」
    画家・伊藤継郎の著した技法書『油絵入門』を参考に、絵具に砂を混ぜる、引っかくなどの技法を体験し、伊藤の絵画の独特な絵肌の秘密に迫ります。
    〇日 時  6月4日(土)13時30分-16時 
    〇対 象  高校生以上、約20名 *要事前申込、5月26日(木)締切
    〇参加費  300円(材料費として)
     
    (3)ポスター鑑賞会「デザインの手ざわり―ポスターの秘密に迫る」
    北原コレクション展出品のポスター作品について、効果的な美しいポスターになるように制作者が工夫したポイントはどこかなど、考え対話しながら鑑賞します。
    〇日 時  6月18日(土)14時-15時
    〇対 象  中学生以上、約10名 *申込不要、直接会場へお越しください。
    〇参加費  無料
     
    (4)学芸員とギャラリートーク
    学芸員とみなさんでお話をしながら鑑賞します。
    〇日時と対象  *いずれも申込不要、当日会場へ
    【どなたでも参加できます】
    4月30日(土)、5月28日(土)、6月19日(日)いずれも14時~
    【小中学生限定】5月5日(木)15時~
     
    ※高校生以上の方のご参加には、北原照久コレクション展の観覧券が必要です。
    ※(1)(2)の申込方法:芦屋市立美術博物館へお電話(0797-38-5432)かメール(ashiya-bihaku@shopro.co.jp)にて、お名前、お子さまの場合は学年、ご住所、ご連絡先をお伝えください。応募者多数の場合抽選となります。締切は(1)5月11日(水)、(2)5月26日(木)。
    ※新型コロナウイルス感染症の状況により、内容や定員を変更する場合があります。

  • 北原照久コレクション展 -おもちゃ!広告!驚きと感動と心温まる物語‐

    • 開催日:2022年4月16日 ~2022年6月19日

     
    展示リストはこちら
     

    懐かしくて、誰もが心なごむ、北原照久珠玉の大コレクションが芦屋に集結します!

     

    「ブリキのおもちゃ」のコレクターとして著名な北原照久によって、長年にわたり収集したコレクションの中から、「おもちゃ」と「広告」のお宝が芦屋市立美術博物館にやってきます。戦前戦後の貴重なおもちゃをはじめ、北原のコレクションの中で最も多い割合を占めるあらゆるジャンルの「広告」コレクションなど、約1,000点を展示します。北原が「コレクションされたお宝には何百回、何万回と感動があり、様々な方との出会いがあり、本当にコレクションをしていて良かったなと思います。」と語るように、コレクションに出会うことで、「驚き」や「感動」を、是非体感してください。

     

    ≪見どころ≫

     
    ①おもちゃ展示

    北原照久がコレクターとして一躍有名となった「ブリキのおもちゃ」をはじめ、戦前戦後に日本で作られた「セルロイド製」のおもちゃや、ペダルカーなどを展示します。ブリキのおもちゃは、戦後間もないころに、主力産業の一つとして海外に輸出され、精巧な技術で作られたおもちゃの数々は必見です。また、世界的に貴重なおもちゃが一堂に会します。


    キューピーと電話(1930年代)

    プリンス スカイライン DX(1950年代)

    スモーキングロボット(1950年代)

    フレンドリー(1950年代)

    ピギーコック(1950年代)

     
    ②広告展示

    北原照久のコレクションの中で最も多くの割合を占めるのが、広告に関するコレクションです。
    明治、大正、昭和の時代に制作された商品ポスターをはじめ、メーカーのマスコットキャラクターのフィギュアや立体看板、商品箱など、商品を売るために各メーカーがエネルギーをかけて生み出した広告のコレクションを是非ご覧ください。


    赤玉ポートワイン ポスター(1922年)

    ビリケン(1930年代)

    宇津救命丸(1930年代)

     
     

    ≪イベント≫

     
    ①「北原照久とめぐる展覧会ギャラリートーク&サイン会」
    展示のコレクションに隠されたエピソードやストーリーを北原照久本人が紹介します。
    終了後には、サイン会も実施します(展覧会グッズ購入者対象)。
    日時 2022年4月16日(土) 11:00~12:00、14:00~15:00
    出演 北原照久氏
    会場 ホール・展示室
    費用 無料(要観覧券) 
    参加方法 事前申し込み不要 直接会場へ (予定)  
     
     
    ② ASHIYA TOUCH ART&MUSIC VOL.1-ベーゼンドルファーを弾いてみませんか?
    グランドピアノ「ベーゼンドルファー」を演奏する体験会。 ※1人(1グループ) 5分間
    日時 2022年5月15日(日) 10:00~16:00
    会場 1階ホール
    定員 50名 (予定) ※事前申し込み制
    費用 参加費1人(連弾等の1グループ)1,000円 (別途、各自要観覧券)
    企画共催 NPO法人Let’sあーと 
    申込方法 後日、当館HPなどで公開予定
     
     
    ③当館学芸員によるギャラリートーク
    担当学芸員が展示の見どころを解説。
    日時 2022年4月29日(金・祝)、5月5日(木・祝)、6月5日(日)  各日14:00-14:45
    会場 ホール・展示室
    費用 無料(要観覧券)
     

    ※新型コロナウイルス感染症の状況により、イベント内容の変更または中止となる場合がございます。
    詳細は事前に当館ホームページ、「新型コロナウイルス感染症対策(芦屋市立美術博物館利用ガイドライン)」をご確認ください。

     

    ≪5月5日(木・祝)をこどもの日特別割引実施≫

    5月5日(木・祝)は「こどもの日特別割引」を実施し、
    下記の料金で、展覧会をご覧いただけます。
    大人500円、大高生350円 中学生以下無料 (他との割引併用不可)

     
     
    《北原照久氏プロフィール》


     

    1948年東京生まれ。ブリキのおもちゃコレクターの第一人者として世界的に知られている。大学時代にスキー留学したヨーロッパで、ものを大切にする人たちの文化に触れ、古い時計や生活骨董、ポスター等の収集を始める。その後、知り合いのデザイナーの家で、インテリアとして飾られていたブリキのおもちゃに出会い、興味を持ち収集を始める。精力的な収集でマスコミにも知られるようになる。「多くの人にコレクションを見て楽しんでもらいたい」という思いで、1986年4月横浜山手に「ブリキのおもちゃ博物館」を開館。2003年11月より6年間、フロリダディズニーワールドにて「Tin Toy Stories Made in Japan」のイベントを開催。現在、テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」に鑑定士として出演の他、ラジオ、CM、講演会等でも活躍中。
    HP http://www.toysclub.co.jp/

     


     
     

    ≪開催情報≫

    会期 2022年4月16日(土)-6月19日(日) [56日間]
    開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
    会  場 芦屋市立美術博物館 エントランスホール、第1展示室、第2展示室
    休館日 月曜日
    観覧料 一般1,000円(800円)、大高生700円(560円)、中学生以下無料
    ※同時開催「美術の手ざわり-記憶にふれる」の観覧料も含む
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳、
     療育手帳をお持ちの方ならびにその介護の方は各当日料金の半額
    ※5月5日(木・祝)をこどもの日特別割引 大人500円、大高生350円、
     中学生以下無料
    (他との割引併用不可)
    主  催 芦屋市立美術博物館
    後  援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、
    サンテレビジョン、ラジオ関西
    企画協力 株式会社トイズプランニング
  • 第66回 芦屋市展について

    • 開催日:2022年3月8日 ~2022年3月27日

     
     
    【開催概要】
    芦屋市展は1948年に芦屋市美術協会の主催でスタートしました。第1回の応募規定に「何人でも随意に応募することができます」とあるように、応募者の年齢や居住地域などを限定しないことが特徴で、近年では小学生から90代の大人まで幅広い層にご参加いただいています。また、創立当初から具体美術協会のリーダー・吉原治良や新制作協会の伊藤継郎、写真家の中山岩太やハナヤ勘兵衛らが関わり、表現の新しさや独創性を大切に、多くの作家を輩出してきました。今回も多くの皆様の作品を通じ、世代や表現の垣根を超えた交流の場、新しい表現が生まれる場となることを目指して開催します。
     
    【会期】
    2022年3月8日(火)-3月27日(日)
    午前10時-午後5時(入館は午後4時30分まで) 
    *最終日の展示は午後4時00分まで(入館は午後3時30分まで)
    *月曜日休館
    (ただし、3月21日(月・祝)は開館し、翌22日(火)は休館)
     
    【観覧料】
    無料
     
    【作品搬入日】
    2022年2月26日(土) 午前10時~12時、午後1時~3時
     
    【会場】
    芦屋市立美術博物館
     
    【審査員】
    今井祝雄(美術家、元具体美術協会会員)
    児玉靖枝(美術家、京都市立芸術大学特任教授)
    出原 均(兵庫県立美術館学芸員)
    川口拡之(元・奈良市写真美術館学芸員)
    津田 直(写真家)
    *肩書きは2021年12月現在のものです。(各部門、順不同)
     
    【賞】

    芦屋市長賞   2点   副賞各3万円
    芦屋市議会議長賞   2点   副賞各2万円
    芦屋市立美術博物館奨励賞   2点   副賞各1万円
    審査員特別賞   若干名   賞状

     
    【寄託賞】
    芦屋市婦人会賞、芦屋ユネスコ協会賞、芦屋ライオンズクラブ賞、
    芦屋ロータリークラブ賞、菊寿会会長賞、ターナー色彩株式会社賞、中山岩太賞、
    ハナヤ勘兵衛賞、吉原賞、LADSギャラリー賞(五十音順)
     
    【オーディエンス賞】
    (※会期中来場者の投票により決定)
     
    【講評会】
    平面:3月13日(日)午後2時―4時(予定) 
    写真:3月20日(日)午後2時―4時(予定)
     
    【授賞式】
    3月27日(日)午後2時―3時30分 芦屋市立美術博物館
     
    【主催】
    芦屋市、芦屋市教育委員会、芦屋市立美術博物館
     
    ■部門 平面(油彩画、水彩画、日本画、版画などを含む)および写真

    第66回芦屋市展の「平面」「写真」各部門の入賞者が決定致しました。

    入賞者は下記の通りとなります。

     

    ◎第66回芦屋市展 入賞者 一覧 (敬称略)

    【平面】

    芦屋市長賞   岸本幸三 ≪透明な衝動Ⅰ、透明な衝動Ⅱ≫
    芦屋市議会議長賞   長岡善孝 ≪時空≫
    芦屋市立美術博物館奨励賞   川北俊治 ≪ひこばえ≫
    審査員特別賞   HASE.  ≪コミュニケーション≫
    審査員特別賞   風間虹樹 ≪。、、ひとつ
    いのち。、、≫
    芦屋市婦人会賞   門脇済美 ≪map―もう遠くて≫
    芦屋ユネスコ協会賞   上野山継二 ≪この狂気の歴史を記録せよ≫
    芦屋ライオンズクラブ賞   橋本夏生 ≪蝉≫
    ターナー色彩株式会社賞   寺田直明 ≪赤い木Ⅰ≫
    吉原賞   岩佐盾香 ≪止め処ない呟き≫
    LADSギャラリー賞   上野秀明 ≪空間(白紙のパネル)、時間(白紙のパネルから)≫

     

    【写真】

    芦屋市長賞   井之上修三 ≪母≫
    芦屋市議会議長賞   大垣賢一 ≪風の悪戯≫
    芦屋市立美術博物館奨励賞   木村由美子 ≪時代の影≫
    審査員特別賞   田中智基 ≪静かな光≫
    審査委特別賞   須崎哲哉 ≪小春日和の頃≫
    審査員特別賞   光武仙子 ≪一隅のイメージシート≫
    芦屋ロータリークラブ賞   前田千代子 ≪夏の思い出≫
    菊寿会会長賞   宮﨑大 ≪豊漁≫
    中山岩太賞   八木義明 ≪慕城≫
    ハナヤ勘兵衛賞   三宅美佐子 ≪壁画≫
    マースフォト賞   安田孝 ≪連帯≫

     

    〇全入選作品のリストはこちら
     
    【オーディエンス投票開催】(平面、写真、各部門1名)
    3月8日(火)~3月21日(月)の間、来場者によるオーディエンス賞投票を開催します。期間中に来場された方は、各部門1票ずつお好きな作品に投票ができます。
     
    沢山のご投票ありがとうございました。
    投票の結果、下記の2作品がオーディエンス賞受賞となりました。
     
    【平面部門】鷲見千絵 ≪小さな洗濯屋さん≫
    【写真部門】池田君江 ≪かわいい整列≫
     

    ~第66回芦屋市展に関するお問い合わせ~
    芦屋市立美術博物館 「芦屋市展」係
    〒659-0052 兵庫県芦屋市伊勢町12-25
    Tel:0797-38-5432 Fax:0797-38-5434
    http://ashiya-museum.jp/
    ◎同時開催 歴史資料展示「昔のくらし」展

  • 第39回芦屋市造形教育展

    • 開催日:2022年2月12日 ~2022年2月20日

    【開催概要】
    芦屋市内の幼稚園、小学校、中学校の子どもたちの作品を、全館にわたり展示します。
     
    【会期】
    2022年2月12日(土)-2022年2月20日(日)
    午前10時-午後5時(入館は午後4時30分まで) 
     
    【休館日】
    2月14日(月)
     
    【会場】 
    芦屋市立美術博物館 
     
    【観覧料】
    無料
     
    【主催】 
    芦屋市教育委員会、芦屋市造形教育研究会
     
    【お問い合わせ】
    芦屋市教育委員会学校教育課(TEL:0797-38-2087/平日執務時間内)
    ※歴史資料展示室では「昔のくらし展」を開催中
     


     
    第37回 芦屋市造形教育展のようす(2020)
  • 昔のくらし展

    • 開催日:2021年12月4日 ~2022年3月27日

    芦屋市立美術博物館 1階歴史資料展示室
     
     
    【開催概要】
    昔のくらしの中で使用していた道具を通して、生活様式の変化や歴史を学べる展示を
    行います。芦屋をはじめとした郷土の文化を語る資料も展示し、地域特有の生活文化を
    紹介します。
     
     
    【会期】
    2021年12月4日(土)-2022年3月27日(日)
    午前10時-午後5時(入館は午後4時30分まで) 
     
     
    【休館日】
    月曜日 (ただし、1月10日(月・祝)は開館し、翌11日(火)休館)
    年末年始(2021年12月28日(火)-2022年1月4日(月)) 
    2月7日(月)-2月11日(金・祝)、2月21日(月)-3月7日(月)
    ※展覧会の展示替えのため 
     
     
    【会場】
    芦屋市立美術博物館 1階歴史資料展示室
     
     
    【観覧料】
    同時開催の展覧会に準ずる
     Ⅰ.2021年12月4日(土)-2021年2月6日(日)
      ※「限らない世界 村上三郎展」開催期間中
      一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
     Ⅱ.2022年2月12日(土)-2月20日(日)、2月8日(火)-3月27日(日)
      ※「第39回芦屋市造形教育展」、「第66回芦屋市展」開催期間中
      入館無料
     
     
    【主催】 
    芦屋市立美術博物館
     
     
    【展示点数】 
    計60点
     
     
    【関連イベント】
     2022年2月5日(土) 14時~14時30分
     学芸員によるギャラリートーク 
     
     
    【主な展示品】

     
    出品リスト

  • 開館30周年記念 特別展 限らない世界 / 村上三郎

    • 開催日:2021年12月4日 ~2022年2月6日


     
    プレスリリース  / 出品リスト  / 会場マップ
     
     

    会期 2021年12月4日(土)-2022年2月6日(日)
    休館日 月曜日(ただし1月10日は開館、1月11日は休館)、年末年始(12月28日-1月4日)
    開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
    会場 芦屋市立美術博物館
    観覧料 一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料
    同時開催「昔のくらし」展の観覧料含む
    ※ 無料観覧日:2022年1月15日(土)〔関西文化の日プラス〕
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※ 高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方ならびにその介護者の方は各当日料金の半額になります。    
    主催 芦屋市立美術博物館
    後援 兵庫県、兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE

     
     
     
    《展覧会概要》
     
     具体美術協会(「具体」)の中心メンバーとして知られる村上三郎(1925-1996)は、1955年の第1回具体美術展で、ハトロン紙を体当たりで突き破る作品、通称〈紙破り〉を発表。以降、この〈紙破り〉は村上の代名詞ともいえる作品となりました。50年代から60年代にかけては、パフォーマンス的要素をもつ作品とあわせ、強烈なストロークで描かれた大型のタブローなどを発表し、平面作品での表現を追求していきます。「具体」解散後は、村上独自のパフォーマンス的要素を持つ作品を発表しました。
     村上が紹介される時、「具体」の会員としての一面で語られることが多い中、1996年に当館で開催した村上三郎展では、「具体」という枠組みを解体し、一作家、一人の人間としての「村上三郎」の世界に迫りました。
     本年は、この歴史を画する村上三郎展から、そして村上三郎の旅立ちから25年を迎えました。この記録すべき年に、再び村上三郎展を開催いたします。
     
     村上は、1949年より伊藤継郎に師事し新制作協会で発表を続けます。同会展で人物画や風景画を出品するなか、次第に抽象表現へと移行していきました。それは、同会の若手作家たちが集った「ジャン会」や新鋭な美術を目指した若手作家グループ「0会」での活動によるところが大きく、「具体」入会前夜の活動を知ることは、村上の「絵画」に対する思考を再確認することになると考えます。また、50年頃から終生携わることになった児童を対象とした美術教育の活動を振り返ることは、常に自由で新鮮な創造行為を続けてきた村上の発想の源泉に触れることにもなるでしょう。
     本展では、「具体」の代表作や70年代の個展とともに、これまで紹介されることが少なかった新制作協会時代の作品を展観します。あわせて、〈紙破り〉の資料展示とともに、未発表であった作品制作のためのメモや関係資料、記録写真や映像資料などを加え、約50年にわたる活動を多角的に紹介します。
     本展は、村上三郎を形作る別の根幹に触れながら、新たな村上三郎像を立ち上がらせる試みです。
     
     
     
    《展覧会構成》
     
     本展では、村上三郎の約50年にわたる活動を4章に分け、多角的に紹介します。
    展示予定作品約50点、資料約100点を一堂に展観。
     
    Ⅰ:出発 / 新制作協会 1943―1954
    Ⅱ:探究・追求/具体美術協会 1955―1972
    Ⅲ:回帰 / 個展 1971―1977
    Ⅳ:絵は自由 / 美術教育 1950―1995, 芦屋市展 1952―1994
      
     
    ※コーナー名等は、都合により変更する可能性があります。
     

     
     
     

    1. 村上三郎 《河小屋》1952年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    2. 村上三郎 《作品》 1953年 油彩、カンヴァス 大阪中之島美術館蔵
    3. 村上三郎 《空》  1956/1993年 ブリキ、布、木、鉄 個人蔵
    4. 村上三郎 〈通過〉 1956年 第2回具体美術展
    5. 村上三郎 《作品》 1957年 ミクストメディア、板 芦屋市立美術博物館蔵
    6. 村上三郎 《作品》 1958年 合成樹脂塗料、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵
    7. 村上三郎 《作品》 1959年 合成樹脂塗料、カンヴァス、コラージュ  個人蔵
    8. 村上三郎 《作品》 1963年 合成樹脂塗料、石膏、接着剤、綿布、板 兵庫県立美術館蔵
    9. 村上三郎「箱」個展 1971年 撮影:夏谷英雄 *記録写真
    10. 村上三郎個展〔拍子木〕 1973年  撮影:夏谷英雄 *記録写真
    11. 村上三郎展「自同律の不快」芳名帳 1977年 国立国際美術館蔵
         撮影:福永一夫
    12. 仁川幼稚園 1985年 撮影:塩野真孝
    13. 第25回芦屋市展ポスター 1972年 個人蔵 デザイン:村上三郎
         *中央部分が四角くくりぬかれ、背後がポスターの一部に切り取られるデザイン。

     
     
    《本展のみどころ》
     
    1 国内の美術館では初公開の作品を多数展示予定。
     本展では、《自画像》(1950前半)や村上彦(三郎)・白髪一雄二人展出品作である《危険なる均衡》(1954)といった、「具体」参加以前の作品のほか、第9回具体美術展に出品されてから所在不明であった《作品》(1960)、モチーフが大きく変化した1964年の具体美術新作展出品作《作品》(1964)〔すべて個人蔵〕など、当時の発表以降、国内の美術館では初の展示となる作品を一挙公開します。
    また、1956年7月の野外具体美術展(芦屋公園)に出品した《空》(1956/1993)を屋外で展示し、当時の鑑賞方法を再現します(鑑賞体験は日時限定を予定)。
     
    2 未公開の作品制作メモや関係資料、記録写真・動画などの資料を展示します。
     村上三郎が残した作品制作に関するメモや当時の手帳、記録写真といった未公開の資料のほか、新制作協会やジャン会、0会、具体美術協会、個展(1970年代)、などの関係資料を展示します。あわせて、村上の代名詞とも言われる、通称〈紙破り〉の関係資料(写真・映像記録等)を展示し、村上三郎が歩んだ時間を可視化します。
     
    3 専門家による講演会、スライドトークを開催します。  
     本展関連事業として、具体美術協会など戦後美術を研究している平井章一氏(関西大学文学部 教授)、1996年に芦屋市立美術博物館で開催した村上三郎展を企画した山本淳夫氏(横尾忠則現代美術館 館長補佐兼学芸課長)、村上三郎作品の修復を手掛けた横田雅人氏(修復家)の3名をお招きし、「村上三郎」の作品論・芸術論などについてお話いただきます。
    併せて、会期中に学芸員によるワークショップやギャラリーツアーを開催します。
     
     
    《作家紹介》
     
    村上三郎 Murakami Saburo
    1925-1996
     神戸市に生まれる。1943年関西学院大学予科に入学。神原浩に師事、油絵を始める。1948年関西学院大学文学部哲学科卒業。1949年伊藤継郎に師事、翌年より新制作協会展に出品を続ける。1951年関西学院大学大学院で美学を専攻。1951年より新制作協会で活躍していた西村元三朗や網谷義郎、白髪一雄らと集まった「ジャン会」、1954年には新鋭な美術家を目指した金山明や白髪ら若手研究グループ「0会」へ参加。その間の1952年の第5回芦屋市展に初出品、以降1994年の第47回展まで出品を続けた。1955年具体美術協会(「具体」)に参加、同年の第1回具体美術展でハトロン紙を体当たりで突き破る作品、通称〈紙破り〉を発表。1957年の第6回関西総合美術展洋画部門で木箱《作品(坐って下さい)》を出品し物議をかもす。また、同年の第3回具体美術展では、画面が剥落し続ける絵画を出品した。50年代から60年代にかけては、パフォーマンス的要素を持つ作品とあわせ、強烈なストロークで描かれた大型のタブローなどを発表し、平面作品での表現を追求した。「具体」解散後は、会期中一言も発しない〔無言〕に代表される、能動的な表現を放棄したかのような作品群を発表した。
     当館では、新制作協会に出品していた時代の作品から、具体美術協会で活躍していた時期、解散以降の作品12点(組)を所蔵している。
     
     
     
    《展覧会関連イベント》
     
    (1)講演会「〈紙破り〉の過去・現在・未来」

    講 師:平井章一(関西大学文学部 教授)
    日 時:2021年12月12日(日)14:00-15:30
    会 場:芦屋市立美術博物館 講義室
    定 員:60名
    申し込み不要、直接会場へお越しください。

     
    (2)講演会「存在に理由はない― 村上三郎の芸術について」

    講 師:山本淳夫(横尾忠則現代美術館 館長補佐兼学芸課長)
    日 時:2022年1月10日(月・祝)14:00-15:30
    会 場:芦屋市立美術博物館 講義室
    定 員:60名
    申し込み不要、直接会場へお越しください。

     
    (3)スライドトーク「村上三郎の絵画から見えてきたこと―修復家の視点」

    講 師:横田雅人(修復家)
    日 時:2022年1月23日(日) 14:00-15:30
    会 場:芦屋市立美術博物館 講義室
    定 員:60名
    申し込み不要、直接会場へお越しください。

     
    (4)学芸員によるワークショップ「絵具をつかって考えよう―村上三郎の絵画」

    日 時:2021年12月19日(日)13:30−15:00
    会 場:芦屋市立美術博物館 体験学習室
    対 象:小学生以上 20名
    要事前申込。12月10日(金)締切。
    申込方法:氏名・住所・電話番号を電話(0797-38-5432)かEメール
    (ashiya-bihaku@shopro.co.jp)にてお伝えください。
    応募者多数の場合は抽選。

     
    (5)学芸員によるギャラリートーク

    日 時:2021年12月18日(土)、2022年1月15日(土)、29日(土)
    いずれも14:00− 1時間程度
    申し込み不要、直接会場へお越しください。
     
    ※いずれも参加費は無料(要観覧券)
    ※新型コロナウイルス感染症の状況により、イベント内容の変更または中止となる場合がございます。
    詳細は事前に当館ホームページ、新型コロナウイルス感染症対策(芦屋市立美術博物館利用ガイドライン)」をご確認ください。