浮世絵恋物語~浮いた話のひとつふたつ
”偶像”のように理想化された人物像は洋の東西を問わず、いつの時代にも絵画化されています。江戸時代の美術を代表する浮世絵版画には、当時の人々が好んだ風貌の人物が数多く描かれ、庶民階層から貴族や姫君に至るまで幅広い人物が題材とされます。
なかでも、歌舞伎役者や町の美女たちが描かれた役者絵、美人画はまさに当世美意識の結晶です。そのような美男・美女が紡ぎだす恋物語は江戸時代文化を物語るもので、当時流行した「仇討ち物」や「心中物」には当時の複雑な男女の恋愛が盛り込まれています。「仮名手本忠臣蔵」や「心中天網島」など、人々の心に訴えかける物語が江戸時代に数多く生み出され、その恋のエピソードが浮世絵にたくみに描写されています。
そもそも「好色」という言葉は、今日ではあまりイメージの良くない言葉で使用されますが、流行の敏感でセンスがよく、言葉遣いも気が利き、人への気遣いも慣れていて、教養があり、芸事にも達者な人物を意味します。江戸時代にはこの”好色”こそが、異性にもてる要素だったのです。
本展では、このような江戸時代の恋愛事情や、当時美しいとされた美男・美女の姿から、物語に盛り込まれた様々な恋のエピソードを幅広く紹介し、江戸時代当時の社会に迫りたいと思います。
阪神沿線の文化110年 モダン芦屋 クロニクル-アート、ファッション、建築からたどる芦屋の芸術
開催趣旨:六甲山を背景に大阪湾が開ける温暖な気候に恵まれた自然環境をもつ芦屋は、芦屋、打出、三条、津知の4つの村からなる農業、漁業の営まれた地域として白砂青松とうたわれるのどかな場所でした。明治中頃より芦屋は鉄道の開通とともに急速に発展、大正初めには阪神間を代表する健康地として注目され、商人の街大阪と貿易港として栄えた神戸という近代都市で働く人々の理想的な住宅地として人気を博します。そこでは、日本の伝統様式を重んじながら西洋の生活様式が取り入れられた新しいライフスタイルが築かれ、阪神間モダニズム文化が形成されていきました。そのような中、美しく風情ある明媚な環境とモダニズム文化を背景に、画家や写真家たちが芦屋に居を構え、互いに影響を与えながら数々の名作を生み出しています。
本展では、近代化が飛躍的に進んだ明治末から昭和初めの芦屋のライフスタイルを、建築、文芸、生活に関する資料等から紹介するとともに、芦屋ゆかりの画家、小出楢重や上山二郎、長谷川三郎、伊藤継郎、吉原治良のほか、新興写真運動の先駆けとなった芦屋カメラクラブ、戦後の日本を代表する前衛美術グループ具体美術協会を紹介し、文化の香りただよう街、芦屋の歴史を辿ります。
阪神沿線の文化110年展実行委員会は、尼崎市総合文化センター、西宮市立郷土資料館、西宮市大谷記念美術館、白鹿記念酒造博物館、芦屋市立美術博物館、芦屋市谷崎潤一郎記念館、BBプラザ美術館、阪神電気鉄道株式会社の8機関で構成され、阪神電鉄大阪-神戸間開通110年を記念し、2015年3月28日-8月30日の間、各館で関連展覧会を順次開催いたします。
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芦屋の歴史と文化財~祈りをささげた神さま仏さま
開催趣旨:本展では平成24年に文化財として指定された芦屋川の文化的景観が育んできた芦屋の歴史をご紹介します。古代の人々の暮らし、和歌や物語に登場する風光明媚な土地柄、住宅地として街が発展した阪神間モダニズムを中心に、古代から現代に至るまでの芦屋の歴史を辿ります。
さらに、様々な神仏に対する信仰が広く庶民にまで普及してきた江戸時代、芦屋にくらす人々がどのような神さまや仏さまに祈りをささげてきたかをご紹介します。それを知ることで芦屋という地域の特異性が見えてきます。古くから漁が行われてきたこと、西国街道が通る道筋であったことなどが、日本古来の神や仏とどのように結びついてきたか、歴史資料から読みときます。
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第63回芦屋市展
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は翌火曜日休館)
開催趣旨:「何人も随意に応募することが出来ます」という自由さが特色の公募展として1948年に第1回展が開催されて以来、本展は今年で第63回目となりました。本年も多くの方々に親しみをもっていただける公募展をめざします。前回に引き続き、会期中に来場者の投票で選ぶ賞も設けます。
開館時間:午前10時―午後5時(入館は午後4時30分まで)
*最終日は午後4時30分まで(入館は午後4時まで)
*月曜日休館。ただし5月4日(月・祝)は開館、5月7日(木)は休館。
観覧料:無料(同時開催「芦屋の歴史と文化財~祈りをささげた神さま仏さま」展もご覧いただけます。)
主催:芦屋市、芦屋市教育委員会、芦屋市立美術博物館
第63回芦屋市展についてhttp://ashiya-museum.jp/news/7244.html
*要項の郵送をご希望の方は、送り先を記入した82円切手貼付の封筒を同封し、以下の住所までお送り下さい。
【送付先】
〒659-0052 芦屋市伊勢町12-25 芦屋市立美術博物館「芦屋市展」係
*封筒表に「芦屋市展募集要項送付希望」と朱書きしてください。
第32回芦屋市造形教育展
休館日:2月23日(月)
開催趣旨:芦屋市内の幼稚園、小学校、中学校生徒の作品を全館を使用して展示します。
開館時間:午前10時―午後5時(入館は4時30分まで)
観覧料:無料
主催:芦屋市教育委員会/芦屋市造形教育研究会
問い合わせ:芦屋市教育委員会学校教育課 Tel 0797-38-2087 (月~金のみ)
※歴史資料展示室では「昔の暮らし―みんな昔は子どもだった」展を同時開催
土器どき芦屋の物語-遺跡が語る芦屋の歴史-
小企画展 光の空―阪神・淡路大震災から20年―芦屋
開催趣旨:阪神・淡路大震災から20年の節目となる2015年1月17日。人々は忘れられない記憶をそれぞれの形で受け止めています。
本展では、所蔵作品や資料を中心に、震災を契機とした表現活動や生み出された作品から、当時の記憶と記録を紹介するとともに、当館が行った作品・資料等の救出活動(「文化財レスキュー」)、開催した震災関連の展覧会を振り返りながら、美術と美術館の存在、その意義を改めて考えます。
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昔の暮らし-みんな昔は子どもだった
開催趣旨:人々の昔の暮らしぶりをご紹介する本展において、今年度は特に子どもの生活に焦点を当てます。芦屋には鉄筋コンクリート3階建て校舎の近代建築で、昭和8(1923)年に開校された山手小学校が存在しました。近年の生徒数の漸減によって平成11(1999)年、三条小学校と統合されました。明治5(1872)年に莵原郡芦屋小学校として西芦屋の安楽寺を仮教場として開校した精道小学校は、市内の小学校随一の歴史を有しています。
学校での授業や子どもたちの娯楽に焦点を当て、明治の末以降、急速に近代化が進んだ芦屋地域における子どもたちの暮らしぶりに迫ります。
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Art trip vol.01窓の外、恋の旅。/風景と表現
この度、芦屋市立美術博物館では「art trip vol.01窓の外、恋の旅。/風景と表現」展を開催いたします。
古来より、いつの時代も人々は、花見や紅葉狩りなどで季節を楽しみ、名勝地や景勝地の風景を愛で、海や川、空の色合いの美しさや山並みの雄大さといった自然美や都市の情景など、生活の中にある風景を享受しながら、四季折々の風景を楽しみ、日々の暮らしに彩りを添えてきました。そのような居心地のよい風景は、天災や人災などで一瞬にしてなくなってしまうことがあります。故郷や思い出の景色、ありふれた日常の風景は、失って初めて大切さを知ることになるかもしれません。
本展では、「風景」をテーマに、芦屋ゆかりの画家である小出楢重や吉原治良、村上三郎や写真家のハナヤ勘兵衛らの作品とともに、国内外で活躍する下道基行(美術家/写真家)、林勇気(映像作家)、ヤマガミユキヒロ(美術家)ら若手作家3名と、日本を代表する詩人の谷川俊太郎の作品を展示します。
絵画や映像、写真の作品とあわせて文学の一つである詩を展示し、美術と詩の関係をさぐりながら、近現代の風景表現の流れを見ていきます。そして、我々をとりまく環境と改めて向き合いながら、かけがえのない存在である風景の力を感じていただきたいと思います。
芦屋の歴史と文化財-徳本上人の軌跡 展
開催趣旨: 本展では平成24年に文化財として指定された芦屋川の文化的景観が育んできた芦屋の歴史をご紹介します。古代の人々の暮らし、和歌や物語に登場する風光明媚な土地柄、住宅地として街が発展した阪神間モダニズムを中心に、古代から現代に至るまでの芦屋の歴史を辿ります。
さらに特集展示として、浄土宗の僧侶である徳本上人(1758?‐1818)の軌跡に注目します。江戸時代の後期、徳本上人は和歌山で生まれ、諸国を巡り、念仏を行い、厳しい修行を行いました。上人が芦屋を訪れた足跡は、現在も石碑によって残されています。しかし、具体的にどの寺院に滞在したかなど詳細な記録は残されていません。当館の所蔵する歴史資料から、新知見を提示する機会となります。