会 期 | : | 2023年10月28日(土)―2024年2月4日(日) |
休館日 | : | 月曜日(ただし、1月8日は開館、1月9日は休館)、年末年始(12月28日―1月4日) |
観 覧 料 | : | 一般800(640)円、大高生500(400)円、中学生以下無料 *無料観覧日:2023年11月11日(土)、12日(日)[関西文化の日] *( )内は20名以上の団体料金 *高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方ならびにその介護の方は各当日料金の半額 *リピート割引:本展チケットの半券をご提示いただいた方は、団体割引料金でご覧いただけます。 (1枚につきお一人様1回限り、他の割引券との併用不可) |
会 場 | : | 芦屋市立美術博物館 |
主 催 | : | 芦屋市立美術博物館 |
後 援 | : | 兵庫県、兵庫県教育委員会、NHK神戸放送局、公益財団法人 兵庫県芸術文化協会、神戸新聞社、Kiss FM KOBE |
助 成 | : | 、、 |
協 力 | : | 太陽工業株式会社、株式会社淀川製鋼所、株式会社桝弥、株式会社八田、一般社団法人 山田正亮の会、ShugoArts |
《展覧会の概要》
本展では、関西を拠点に国内外で活動する、藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4名が、当館のコレクションから注目する作家を選び、その作家像と併せて作品を様々な方法で読み解いていきます。彼/彼女らが創作者としての視点をもって、山崎つる子たち7名の思考や手業に近づきながら多様な方法でアプローチすることで、新たな作品解釈と共に、これまで表には出ていなかった個人史をも浮かび上がらせます。
藤本は、山崎つる子の《作品》(1964)を手掛かりに様々な角度から検証し、具体美術協会という枠を超えて山崎の世界の新しい発見を試みます。野原は、生涯にわたって約5,000点もの絵画を遺した山田正亮に注目しました。山田が残した作品や50冊以上に及ぶ制作ノートから、本質的な絵画への問いと「描く」という山田の思考を、画家の視点と制作という行為を通して導き、抽象絵画の新しい鑑賞方法を提示します。高橋は、人や作品、時代とのつながりを「対話」という形で拡張していった津高和一の活動から、現代における「対話」について考察し、津高が抽象絵画を描くに至る経緯や精神性などを検証していきます。黒田は、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの3名の彫刻家とあわせて、田中敦子に注目し、アーティスト本人や周囲の人々の言葉を通して、各作家像に迫ります。
本展は、現代の作家が新たな視点をもって当館コレクション作品を調査・研究し、その研究成果としての展示空間=「思考を深める場」を立ち上げる方法によって、新たな展望を提示します。
出展作家
関連イベント
(1)オープニングイベント
アーティストによるギャラリートーク
日時:2023年10月28日(土) 14:00-16:00(予定)
講師:藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケ
会場:展示室
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
(2)トーク1
日時:2023年11月18日(土)
講師:黒田大スケ(美術家・出展作家)
トーク2
日時:2023年12月9日(土)
講師:髙橋耕平(美術家・出展作家)
トーク3
日時:2023年12月23日(土)
講師:藤本由紀夫(アーティスト・出展作家)
いずれも
時間:各回14:00-16:00
会場:講義室、展示室
対象:どなたでも 60名
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
(3)ワークショップ
「記憶の色図鑑づくり」
日時:2023年11月25日(土)10:30-14:30(予定)
講師:野原万里絵(画家・出展作家)
会場:体験学習室 対象:小学生以上 15名
材料費:200円(高校生以上は要観覧券)
※要事前申込。11月15日締切。応募者多数の場合は抽選。
(4)アーティストと学芸員によるギャラリーツアー
2024年1月13日(土) 藤本由紀夫と髙橋耕平
1月20日(土) 野原万里絵と黒田大スケ
各回14:00-15:30(予定) ※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
(5)学芸員によるギャラリートーク
2023年11月11日(土)、12日(日)、2024年1月8日(月・祝)
各回13:00~ 約1時間
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券) *11月11日、12日は無料観覧日(関西文化の日)
お問い合わせ:芦屋市立美術博物館
〒659-0052 兵庫県芦屋市伊勢町12-25 ℡ 0797-38-5432
ホームページ:ashiya-museum.jp X(旧twitter):@ashiyabihaku
作家が作家を考察する。現代に生きる作家の作品、すべて新作。
本展に参加する藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4名は、関西を拠点に国内外で活躍する美術家や画家です。彼/彼女らは、当館コレクションから山崎つる子、津高和一、山田正亮、田中敦子、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの作品やその人物像に注目しました。
デイヴィット・ホックニーが『秘密の知識―巨匠も用いた知られざる技術の解明(原題:Secret Knowledge Rediscovering the lost techniques of the Old Masters』(2006)で示したとおり、ホックニーや関係者たちの調査研究による鏡とレンズを使った技法から導き出した仮説が科学的根拠をもって当該書によって立証され、伝統的絵画の新しい理解と鑑賞方法を獲得することが出来ました。このように、本展で藤本たち4人が、先行研究を参照しながら、実作品や資料、書籍、インタビュー映像などから導き出していく仮説や論考は、当館コレクションの新たな表現や意義、これまで見えていなかった新たな作家像を現わしてくれると確信します。4名が立ち上げた新しい解釈は、絵画や映像、インスタレーション作品として表されるとともに、様々な観点や価値観を提示する唯一無二の展示空間を生み出します。
作家によるコレクションへのアプローチ
藤本由紀夫は、⼭崎つる⼦の1964年の作品《作品》一点から何が読み取れるかに挑戦します。藤本自身の制作のプロセスと照らし合わせることにより、山崎の仕事の姿勢、思索の跡を追うことが出来ると考えます。具体美術協会という枠を超えて⼭崎つる⼦の世界の新しい発⾒を試みます。
髙橋耕平は、津高和一の詩から始まった書や、絵画制作が抽象絵画へと進むとともに個人の活動を拡張した「運動」とも言える「対話のための作品展」や、社会と芸術を繋ぐ試みとして行った「架空通信テント美術館」など、私と公のつながりを「対話」という形で拡張していった津高の活動に注目しました。本展では仮説として、津高の抽象絵画に向かう姿勢と成り立ちに、後の「対話」的活動の萌芽を見出し、髙橋の制作プロセスを重ね、津高が試みた作品と作品が置かれる場を通した「対話」のあり方の継承を試みます。
野原万里絵は、山田正亮に注目しました。生涯にわたって約5,000点もの絵画作品を遺した山田は、几帳面な性格をもち、近しい人にも描く姿を見せなかったといいます。作品と共に残された50冊以上に及ぶ山田の制作ノートには、作品のスケッチや課題に対するメモ、その時に感じたであろう山田の言葉が綴られており、山田の絵画に向かう思考に触れることはできるものの、「絵画を描く」というシンプルな感覚を想像するには、もう一歩踏み込んだアプローチが必要です。今回、野原は、山田が「何故描いたのか」「どのように描いていったのだろうか」という本質的な絵画への問いを画家の視点で調査を行い、制作という行為を通して一つの答えを導きます。
黒田大スケは、田中敦子と3名の彫刻家、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの作品に注目しました。田中は具体美術協会を代表するアーティストの一人として議論や考察が絶えない一方で、アーティスト本人による言葉は多くありません。今回黒田は田中の作品制作をサポートした影の立役者(電気屋)の視点から作品制作を通して田中像に迫ります。あわせて、絵画や平面作品を多く収蔵する当館では展示される機会の少ない彫刻のコレクションに光を当て、堀内正和、柳原義達、ブールデルを演じ、彼らの視点から作品を制作します。全体を通して、田中と彫刻家達についてのばらばらの詩を重ねることで、見えない存在に姿を与えるように透明な何者かの為の物語を紡ぐことを試みます。
彼/彼女ら4名は、コレクションを調査・研究し、その研究成果としての展示空間=「思考を深める場」を立ち上げます。展示と併せ、アーティストによる考察を図録に収録し、言葉による接近も試みます。
1. | 藤本由紀夫《y-memo》2023年 カラーシート、ブリキ、トタン 作家蔵 |
2. | 髙橋耕平《未定》2023年 インスタレーション(一部) 作家蔵 |
3. | 野原万里絵《色彩への扉》2023年 パステル、色鉛筆、紙 作家蔵 |
4. | 黒田大スケ《4匹》2023年 ドローイング 作家蔵 |
5. | 山崎つる子《作品》1964年 ビニール塗料、綿布、板 芦屋市立美術博物館蔵 ©Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS GALLERY, Osaka |
6. | 津高和一《声》1956年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵 |
7. | 山田正亮《WORK F.1》1990年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵 |
8. | 田中敦子《カレンダー》1954年 インク、紙、鉛筆、コラージュ 芦屋市立美術博物館蔵 ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association |
9. | 堀内正和《作品−B−》 1954年 鉄 芦屋市立美術博物館蔵 |
10. | 柳原義達《黒人の女》 1956年 ブロンズ 芦屋市立美術博物館蔵 |
11. | エミール=アントワーヌ・ブールデル 《デモステネスA》1927年 テラコッタ 芦屋市立美術博物館蔵 |
作家略歴等