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三田谷治療教育院のあゆみ
  • 歴史資料展示室
  • 開催日:2011(平成23)年8月6日 ~2011年10月2日

 医学博士の三田谷 啓(ひらく)(1881-1962)が開設した[三田谷治療教育院]は、近代の芦屋における初等教育機関を考える上ではずすことのできない施設です。
 明治14(1881)年、兵庫県有馬郡名塩(現:西宮市名塩)に農家の長男として生まれた三田谷 啓は、明治38年(1905)年、大阪府立高等医学校を卒業後、富士川游から治療教育学を、呉秀三からは精神病理学を学んだ後、ドイツで見識を深め治療教育の実践に一生を捧げることを決意した医学者です。
 三田谷は、全国に先駆けて設置された大阪市社会部児童課の課長を務め、児童相談所や産院、乳児院などを創設します。また、雑誌『母と子』『白ばら』『児童相談』を創刊し、母性の教育、精神薄弱児の保護・養育の必要性を広く訴えました。昭和2(1927)年に精道村打出(現:芦屋市楠町)に開設された[三田谷治療教育院]は、子どもを完全に預かることのできる学寮「コドモの学園」を敷設して、本格的に治療教育を行いました。
 ここでの活動の特徴は、知能の発達や性格に問題があるのは、何らかの身体的疾患によるものだという見地から医学に基づいた教育を実践したこと、子どもの健やかな成長のためには母親への教養が必要だという考えのもとにその啓蒙活動を重視した点です。三田谷は一つの視点だけではなく、総合的な教育が必要だと考え実践していきました。その思想はかわることなく引き継がれ、現在は園芸セラピーやアートセラピーなども組み入れた、類を見ない教育施設としてその歴史を刻んでいます。
 本展では、当時の写真や資料などから三田谷治療教育院の歴史を振り返ります。
 

 
【関連事業】
(1)講演会「女性教育のさきがけ-三田谷 啓の取り組み」

三田谷は、多くの講演会や展覧会、研究会などを通して、母性教育に取り組みました。
その内容は、子どもを産み育てる母性の教育に留まらず、芦屋の地域性を反映する「唱歌や舞踏、化粧品会社の見学、おせち料理作りなど女性の趣味と実益を兼ねた楽しいひととき」でもあり、「国際的で文化的な活動ができる子女の育成」でもありました。本講演では、三田谷が取り組んだ女性教育についてお話しします。

日時:8月20日(土) 14:00~15:30
講師:本保恭子(ノートルダム清心女子大学教授)
会場:講義室(定員80名) 聴講無料(要展覧会チケット)

 
(2)展示解説会

展示室内でわかりやすく解説します。

日時:9月17日(土) 14:00~14:30
講師:三田谷文庫司書、当館学芸員
会場:歴史資料展示室 聴講無料(要展覧会チケット)